発達障害にはグレーゾーンがあることが知られています。グレーゾーンは診断が難しく、療育の対象として見落とされるケースもあり、本来は改善支援が必要なのに受けられないという危険性も指摘されています。
発達障害の子どもには明確な知能の遅れがあるわけではなく、症状の種類や程度もさまざまです。そのため、一般の子どもとの判別が難しい場合があり、はっきりと診断できない中間的な位置づけをグレーゾーンと呼んでいます。
グレーゾーンについて知るためには、発達障害について理解しておく必要があります。まずは主な発達障害の種類と特徴についてまとめてみましょう。
学習障害は知能的な問題ではなく、文字を読んだり書いたり、算数の計算をするなどの特定の能力にだけ著しい遅れが見られる状態です。一般的な学力不足とは異なり、かなり明確な症状が現れるという特徴があります。
これらの症状以外にも、協調障害や精神遅滞などの分類がありますが、後述するように、発達障害の症状との線引きが非常に難しい状態がグレーゾーンだといえます。
幼稚園や小学校でも、落ち着きがない子どもや友だちと付き合うことが苦手な子どもは当たり前にいます。そうした子どもたちが、すぐに発達障害を疑われることはありません。しかし、周囲の大人から見て際立った行動が多いと感じられるときが、いわゆるグレーゾーンの可能性が高いと考えられます。
グレーゾーンは、そのままにしておくと発達障害に移行するという性質のものではなく、発達障害の前段階ではないのです。発達障害の可能性もあれば、そうではない可能性もある、その中間点に位置すると考えればわかりやすいでしょう。
グレーゾーンで注意しなければならないことは、二次的障害を招くリスクがあることです。発達障害として周囲から認識されていないと、学校では落ち着きがないなどと頻繁に注意されることになります。また、友だちからも誤解を受けやすく、集団内で孤立してしまうこともあります。
グレーゾーンにある子どもに対しては、基本的に発達障害の子どもと同様の接し方が必要になるでしょう。障害の可能性があるという段階だとしても、周囲が意識的に療育と支援を行えば、発症を未然に防ぐことや症状を改善することができるかもしれません。
グレーゾーンとしての特徴は、多かれ少なかれほとんどの人に見られるものかもしれません。誰にでも苦手なことや特に強くこだわりを持つ対象があり、性格的に落ち着きがない人も当たり前にいるため、見分けがつかないこともあります。
しかし、グレーゾーンの子どもたちに対しては、接し方を誤ると二次的障害につながる危険性があります。それを防ぐためにも、発達障害が疑われるような症状がちょっとでも見えたら、周囲の大人が意識して適切な接し方をする必要があるでしょう。
「いいね!」ボタンを押すと、
最新情報がすぐに確認できるようになります