学習障害(LD)は発達障害の一つで、読み書きや計算能力などに著しい遅れが見られることが特徴です。そのままにしておくと、年齢に見合った学習能力の習得が困難になってしまうので、早期に発見して適切な支援を行う必要があります。
学習障害(LD)には、教育的な見地からの「LD(Learning Disabilities)」と、医学的な見地としての「LD(Learning Disorders)」との2つがあります。
学習障害(LD)は「限局性学習症」とも呼ばれ、知能の発達に遅れがないにも関わらず、学習面で様々な障害が現れる症状です。単独で発症する場合と、ADHD(注意欠如・多動症)やASD(自閉症スペクトラム)などと同時に発症する場合があります。
他の発達障害と同様に、詳しい原因については解明されていませんが、遺伝が大きく関わっていることと、中枢神経系に何らかの異常がある可能性が指摘されています。ただし、視覚や聴覚の異常とは切り離して考える必要があり、家庭環境などの後天的な原因で発症するものでもありません。
学習障害(LD)の特徴は、「読字障害」と「書字障害」、そして「算数に関わる障害」の3つに代表されます。他の学習分野では遅れが見られなくても、これら3つの分野で著しい遅れが現れることが大きな特徴です。
読字に関しては、文章を読むことが苦手でスピードも遅く、単語の発音や文の音読にも困難を伴います。単語の意味を理解することも苦手です。同時に文字のつづりミスが多かったり、句読点が正しく使えなかったりするなど、書字表出の面でも障害が見られます。
算数の分野では数字を読むことが苦手で、足し算や引き算などの基本計算と、掛け算九九のやり方なども覚えられません。計算能力もかなりの遅れが見られ、簡単な文章問題でもなかなか正確に解くことができません。
学習障害(LD)の子どもに対しては、家庭と学校との連携以外に、小児神経科医師や言語聴覚士などの専門家による協力も必要です。まずはどのタイプの学習障害なのかを診断してもらい、それに合わせた対処法を家庭や学校で継続的に実践することになるでしょう。
学習障害(LD)の支援は、学校と家庭とはもちろんのこと、放課後等デイサービスなども利用しながら、様々な機会を使って実践する必要があります。学校では特別支援教育の利用も視野に入れても良いでしょう。家庭でも専用の通信講座などを使えば、子どもと保護者が一緒になって学習を進めることができます。
読み書きに関する学習障害は、ビジョントレーニングを行うことで改善できる可能性があります。このトレーニングにより、眼球の動きをコントロールする力と、空間認識能力を同時に高めることで、文字をイメージする力を伸ばすことができます。
算数に関する学習障害は、まず算数に対する苦手意識を克服するために、専用の教材やアプリケーションを使って、楽しく算数を学ぶ環境を整えるとよいでしょう。文章問題を解くときには、必ず図や絵などでイメージをつかんでから解くようにします。
学習障害(LD)は知的障害とは異なるので、特別な学習方法を続けることにより、徐々に症状を抑えて学力を高めることが可能です。ただし周囲の支援者には、根気強く継続的なサポートが求められます。
支援をするときには、まず学習障害の子ども本人を理解してあげることと、その症状に合わせて気長に改善プログラムを進めることがカギになるでしょう。子どもの努力を見守るだけではなく、保護者や支援者も同じペースで一緒に歩むことが重要なのです。
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