【発達障がい支援】インクルーシブ教育とは?目的や効果・実施事例をご紹介

【発達障がい支援】インクルーシブ教育とは?目的や効果・実施事例をご紹介

現在、世界的に障がいのある人とない人とがお互いを尊重し合う「共生社会」の形成が求められています。障がいのある人が積極的に社会参加できる共生社会の形成期には、教育課程においても新しいシステムが必要になります。


そのシステムで重要な役割を果たすのが「インクルーシブ教育」です。この記事ではインクルーシブ教育の特徴とメリットを中心に、この新しい取り組みについて解説します。

インクルーシブ教育とは


インクルーシブ教育は、平成18年に国連の総会で採択された「障害者の権利に関する条約」に明記されている理念をもとに、多くの国が取り入れている教育方法です。最大の特徴は、障がいの有無にかかわらず、すべての子どもたちが同じ環境で共に学ぶことです。

目的


国連総会での理念に基づいて、障がいのある子どもたちが自身の持つ能力を最大限に発揮しながら、障がいを持たない子どもたちと共に学ぶ仕組みとして考えられたのがインクルーシブ教育です。

インクルーシブ(inclusive)という言葉は、「包括的な」「すべての要素を含めて」などの意味を持っています。
これまで、障がいのある子どもたちは特別な場が設けられて、他の子どもとは別の場所で教育を受けることが一般的でした。しかし、この教育方針は場合によって社会から隔絶された生活になってしまい、ネガティブな方向に作用してしまうことがあるため、この教育が考えられました。

特徴


インクルーシブ教育は「ノーマライゼーション」という考え方がベースになっています。これは、高齢者や障がいの有無に関係なく権利と生活が保障され、あらゆる人が活力をもって共に生きていくことができる社会を目指すという理念です。


この考えを受けて、インクルーシブ教育にさきがけてスタートしたのが「インテグレーション教育」です。この教育法は障がいの有無に関わらず、教育の場をまとめて統合するという試みです。
つまり、障がいの有無を考慮せずに、すべての子どもたちの教育スペースだけを一緒にするという形式です。この教育は、本質的な意味でのノーマライゼーションではないという声が多くありました。


そこで、すべての子どもたちの多様性を受け入れて、障がいのある子どもには合理的にサポートを行い、それぞれに合った方法で心身の発達を促すというインクルーシブ教育が生まれました。
これは、まさに共生社会を実現するための教育といえるでしょう。


インクルーシブ教育のメリット・デメリット


インクルーシブ教育を行う教育現場では、さまざまな課題が見えてくるかもしれません。
では、障がいのある子どもたちとそれ以外の子どもたちにとって、インクルーシブ教育にはどのような利点があるのか、課題と合わせて考えてみましょう。

インクルーシブ教育のメリット


障がいのある子どもたちは、特別な学校に通うために遠くまで移動したり転居したりする必要がなくなり、近くにある学校に通うことができるようになります。また、特別支援学校では仕組み上難しかった教育も受けることができ、設備も充実した環境で学ぶことができるでしょう。


一方で周囲の子どもたちも、多様性のある仲間と交流することにより、障がいの有無に関わらない社会性を身につけることができます。共生社会への理解が深まり、社会に出たときの実践的な考え方を習得することも可能です。

インクルーシブ教育のデメリット


次に、課題の面から見てみると、障がいのある子どもたちにとって十分なサポートがない場合、学校内でのさまざまな活動に対応することが困難になる可能性があります。また、場合によっては周りの子どもたちの共生社会への理解が十分に進まずに、いじめの対象になってしまったり日々のストレスが蓄積したりして、学校生活を続けること事態が難しくなってしまう可能性もあります。


周囲の子どもたちにとって課題になるのは、授業のペースを障がいのある子に合わせた場合に、学習の進度が低下してしまう可能性があることです。この点は、カリキュラムや配慮を工夫するなどして、教育現場の先生たちが常にフォローを行うことが必要になってきます。

インクルーシブ教育の実施事例


ここまで整理してきた内容と比較しながら、実際に教育現場で行われているインクルーシブ教育の事例を2つ見てみましょう。いずれも国立特別支援教育総合研究所のデータベースから引用した事例です。

事例1:自閉症をもつ小学生の場合


1つ目は、自閉症とADHDの可能性がある小学生の事例で、聴覚的情報の処理が苦手で視覚的な支援が必要なケースです。決められた役割を地道に進めることはできるのですが、先生から生徒たちに対する一斉指示を理解して対応することが難しく、自身なりの解釈で物ごとを進めてしまう傾向がありました。


そこで、この学校では通常の授業を補完してサポートするため、支援専門機関と連携し、算数の計算・文章問題の図式化、長い文章教材への視覚情報の追加などを行って、生徒の学力と学習意欲を高めることで、学校生活への対応力向上を図りました。

事例2:視覚障がいをもつ中学生の場合


2つ目は、視覚に障がいをもつ中学生の事例です。聴覚に頼って授業を受けるため、授業中は特別支援教育支援員により教科書の読み上げや代筆などのサポートを受けています。他にもICレコーダーで授業内容を録音して復習したり、特別学級を利用して点字の学習も行ったりと、教育資源を活用した努力も続けています。学校生活では仲の良い友人のサポートを得ることができ、現在は友人関係をさらに広げることを目標にしています。

子どもたちの多様性を尊重する社会


障がいの有無にかかわらず、すべての子どもたちが同じ環境で教育が受けられるように、環境・条件的配慮を行ったうえで分け隔てなく実施される教育が、インクルーシブ教育です。そこには、事例でも見たように現場で実践してみないと分からない困難もあると思います。


人間は1人ひとり違うのが当然で、障がいの有無も人間の多様性の1つです。インクルーシブ教育の本格的な広がりはこれからですが、まずは子どもたちの多様性を認めることが、成功のポイントになるのではないでしょうか。

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