2021.02.22
発達障害支援の中にも、「就労移行支援」「就労継続支援」「就労支援 a型、b型」など、種類も様々です。 今回は、就労移行支援と就労継続支援との違いや就労支援a型とb型の特徴、メリットやデメリットなどについて解説します。 はじめに、就労移行支援と就労継続支援の違いについて見てみましょう。
就労移行支援とは、障害を抱える方の社会参画をサポートするサービスの1つで、65歳未満の方を対象に一般の企業への就職を目指すために必要なスキルの獲得などを目的に行われるものです。
就労継続支援とは、一般企業への就職が難しい方向けに就労の機会を提供するサービスとなり、支援の種類によって「a型」と「b型」に分けられます。
就労移行支援と就労継続支援の大きな違いとしては、就労移行支援では基本的に賃金は発生せず、支援の利用は原則2年間まで、65歳未満の方といった制限があるのに対し、就労継続支援では一部年齢制限があるものの賃金が発生し、利用期間の定めもないといった点が挙げられます。 就労継続支援のa型とb型の違いについても見てみましょう。 就労継続支援のa型は「雇用型」、b型は「非雇用型」と呼ばれ、就労継続支援a型には雇用契約が発生します。いずれも一般企業への就職が困難な方向けのサービスとなりますが、雇用契約の有無により、a型の場合は賃金や年齢制限などの条件が加わります。 就労移行支援は一般企業への就職を目指す方向けの賃金が原則発生しないサービスであり利用期間と年齢制限があること、就労継続支援は一般企業で働くことが難しい方向けに就労機会を提供するサービスで賃金が発生すること、雇用契約の有無によってa型とb型に分けられ、a型には年齢制限があることなどを押さえておくとよいでしょう。 就労継続支援a型の特徴は、雇用契約を結んで就労するという点です。雇用契約を結ぶことにより、最低賃金以上の給与が保障され、安定した就労が望めるというメリットがあります。運営者側からは保険手続きなどのコストや手間がかかる点がデメリットとなりますが、安定した労働力や助成金の対象となる場合があるため、a型は双方にメリットが得られるサービスでもあります。 就労継続支援a型では、報酬単価によって料金(賃金)が決定されます。厚生労働省が公開しているa型事業の報酬単価は定員20人以下、人員配置7.5:1の場合で1日あたり324~618単位となっており、平成29年度の参考月額は74,085円となっています。
参照元:厚生労働省「平成30年度工賃実績」https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/000571834.pdf
就労継続支援a型では、就労移行支援のような利用期間の定めは特にありませんが、雇用契約の際に双方合意の上で雇用期間を定めたり、契約を更新したりすることとなります。 就労継続支援b型では、就労先と雇用契約を結ぶことなく就労の機会を得るサービスとなります。雇用契約は発生しませんが、就労内容や時間に合わせて、所定の賃金が発生します。 就労継続支援b型のメリットとしては短期間の就労が多いため辛くなることが少なく、就労のハードルが低い点が挙げられますが、賃金が低くなりがちで収入も安定せず、運営者側も任せられる業務内容に限界がある、といったデメリットがあります。 就労継続支援b型についても、報酬単価によって料金(賃金)が決定されます。厚生労働省のデータによると、平成29年度の参考月額は15,603円となっており、雇用契約で最低賃金以上が保障されるa型に比べるとかなり安くなっています。
参照元:厚生労働省「平成30年度工賃実績」https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/000571834.pdf
就労継続支援b型もa型と同様に利用期間の定めは特にありませんが、短期間・短時間の就労となるのが一般的です。 なお、就労移行支援では収入に応じて利用者側に9,300~37,200円の利用料金が発生します。就労移行支援はあくまでも一般企業への就労を支援するサービスであるため、交通費も自己負担となります。 一般企業への就労が難しく、就労によって収入を希望する場合は就労継続支援を、さらに保険適用などで安定した収入を望む場合はa型を選択することとなりますが、社会参画が目的で収入にこだわりがなく、短期間だけ働きたい場合はb型を選択するとよいと言えるでしょう。 就労移行支援では一般企業への就職を後押しするためにスキルや知識獲得のサポートをおこない、就労継続支援では一般企業へ就職できない方向けに就労の機会を提供するサービスとなります。 就労継続支援にはa型とb型があり、雇用契約が発生するのがa型、しないのがb型となります。どの支援が利用に際して適切かはケースバイケースであるため、利用者の状況や希望に合わせて最適な支援制度につなげていきましょう。