先月、都内で行われたバレエ「くるみ割り人形」の公演。コロナ禍で活躍の場を失った子役のダンサーたちが、プロと共演する夢の舞台となった。
創立70年を超える名門「谷桃子バレエ団」が、全国の小・中学生123人の応募の中から、オーディションで32人を選抜。
そのひとりが、杉本暖真(すぎもと・はるま)さん、中学1年生。髙部尚子芸術監督によると「オーディションの時、誰よりも目立っていて表現力がとてもあった」という。
鹿児島で生まれ育った暖真さんは、兄の影響で5歳からバレエを始めた。「夢はプロのバレエダンサー」と話す暖真さんは、九州地方のコンクールでは何度も入賞経験があり、
小学5年生の時には鹿児島県で1位になった実力も。今回の公演「くるみ割り人形」は、クリスマスの夜、主人公の少女・クララが夢の世界を旅する物語。
子どもたちは、クララの家で開かれるクリスマスパーティーに招待された客を演じる。
暖真さんの見せ場は、わんぱく少年としてクララにラッパを吹いていたずらするシーン。ところがレッスン中、監督から苦手な「演技」の部分を指導される。
転び方がぎこちなく、ラッパを吹いた後の走り抜けも元気がない。クラシックバレエは、ジャンプやターンなど「踊り」と、物語を伝えるための「演技」の2つの要素がある。
暖真さんが出演する約20分のうち、「踊り」は約3分・残り約17分は「演技」だ。実は、これこそが今回の舞台の狙い。
髙部芸術監督は「踊りの技術を磨くことばかりになりがちになるけれど、子供の頃から演技をする楽しさを知ってほしい」と話す。
暖真さんもこれまで、地元・鹿児島のバレエ教室ではコンクールに向けての「踊り」を中心に練習に励んできた。しかし今回は、ほとんど経験がない本格的な「演技」に挑戦する。
そうしたなか、暖真さんには待ち望んでいることがあった。約20年もの間、谷桃子バレエ団の作品で主役を務めてきた憧れのダンサー・今井智也さんとの共演だ。
本番まであと1か月、憧れの今井さんと初めての練習の日。暖真さんは、今井さんと一緒にステッキを使って箱から人形を呼び出し、舞台を盛り上げる役に大抜擢されていた。
なめらかなステッキの振り方を教わるが、腕の振りが小さく演技として目立たない。課題は山積みだが、本番前日には、共演者たちと一緒に自主練習に励む暖真さんの姿があった。
迎えた本番当日。いよいよ舞台の幕が開く。暖真さんはどんな演技を魅せてくれるだろうか。
(2023年9月11日放送「news every.」より)
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2023年12月4日 コミュニティ投稿
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