2020.11.03
SSTに関心のある方にとって、その研修内容について興味があるのではないでしょうか。「SSTとは?」という基本から初級者研修の内容、受けるメリット・デメリットなどを確認しておきましょう。
SSTとは、「Social Skills Training(ソーシャル・スキル・トレーニング)」の略であり、精神科の領域においては日本語で「社会生活技能訓練」と呼ばれることもあります。簡単に言えば、社会という様々な人が生活する場において、周囲と調和して暮らすためのスキルです。 もともとは認知行動療法に原型を認めることができるため、SSTは1940年代から始まったともいえます。その後、さまざまな理論を背景に独特の技法を含みながら発展してきましたが、認知行動療法とは重なる部分が多いです。 日本では、1994年から精神科のある医療機関で、診療報酬の対象として「入院生活技能訓練療法」が認められ、対人関係のスキルを始め、症状や服薬など疾病に対する自己管理のスキルを高める方法として普及しました。その後、精神科領域に留まらず、就労支援や教育、職場のメンタルヘルスなどの領域でも実践されています。精神障害を抱える人が、自己対処能力を伸ばしできることを増やしながら社会の中で周囲の人と関わり、より良い生活が送れるようになることが目的の訓練といえるでしょう。 SSTの初級者研修とは、SST普及協会のガイドラインに基づき実施されるSST初心者のための研修です。基本の訓練モデルを把握すること、各個人に適切な練習目標を設定できるようになること、SSTのためにグループを作りそれを維持していくための方法を知ることなどが本研修の目的です。 初級者研修では、SST普及協会の認定講師の指導のもと、10時間以上かけて行われます。10時間以上ある研修のうち、8時間以上が実技演習であることも特徴的です。リーダー的な役割を交代で演じながらロールプレイを行い、実践的な知識と技術が学べます。研修修了後、リーダーとして即現場でSSTを実施できるような内容です。 SSTの初級者研修は、SST普及協会の全国の支部にて開催されています。また、研修はSST普及協会のガイドラインに沿って行われるため、SST普及協会以外にも様々な医療機関などの団体が研修を開催しています。医療機関以外には、福祉施設や就労支援施設、職場や学校、地域活動支援センター、自立訓練事業所などが挙げられます。 SST初級者研修の内容は、SST普及協会のガイドラインに則したものです。具体的には、精神障害への理解やリハビリテーションの基本知識、社会生活技能訓練の理論と実践、薬物療法などの他の療法との関わり方などを講義で学びます。そのほか、服薬指導や再発の兆候が見られたときにどのように対処するか、社会復帰のための身だしなみや金銭管理など、基本的な生活技法や技能を改善するためのSST研修もあります。実技では、モデリングやロールプレイを実施しながら、課題の設定やフィードバックの方法などを学びます。 SST初級者研修は実際に受けた方がよいのでしょうか。そのメリットとデメリットを確認しておきましょう。 SST初級者研修を受ける大きなメリットは、研修を修了すると修了証が付与されることです。基本的に修了証はその場で発行してもらえます。SST普及協会の各支部では、初級者研修修了者を対象に中級研修を実施しています。 初級者研修の修了証がないと中級研修を受けられません。そのため、初級者研修の修了証を取得することは、SST普及協会が認定する講師資格を取得するための第一条件です。認定講師資格の講習を受けるには、初級者研修に続いて中級研修を修了してからとなりますので、SSTの認定講師を目指すのであれば初級者研修への参加は欠かせません。 SST初級者研修を受けるデメリットをあえて挙げるとすると、研修に参加するための費用と時間がかかることでしょうか。とはいえ、高額な費用がかかるわけではありません。また、初級者研修は10時間以上かかるため、1日ですべての内容を終えることは難しく、2日間スケジュールを空けなければなりません。しかし、2日間という短期間で初級者研修修了証を取得できるわけですから、研修を受けるメリットの方がはるかに大きいはずです。 学齢期の対人関係や集団行動から就職活動における面接対策、職場体験など、人生を上手に営んでいくための技能を獲得する学習プログラムです。VRで日常のリアルな場面再現が簡単にできるため、 ・SSTを実施できるスタッフがいない ・SSTの準備に時間がかかりスタッフの負担が大きい ・専門スキルの高い職員が不在/採用できない といった施設様でも良質なトレーニングを提供することができます。
厚労省補助対象にもなった注目のVRによるSSTとは?