2020.11.03
放課後デイサービスとは、児童が学校での授業を終えた後に、様々な活動を行える場を提供するサービスのことを指します。家庭での時間とは別に、付加的な教育や文化活動などを行うことによって、子どもの成長を促す目的があります。 こうした活動を行うためには、開業する前に指定申請と呼ばれる手続きが必要となります。というのも、この放課後デイサービスは児童福祉法によって活動が指定されているためです。この指定申請は、開業予定の場所を管轄する自治体へ行うことになります。
手続きをするに当たっては、児童福祉法によって定められている基準を満たしている必要がありますので、開業を検討しているのであれば、まずこれらの条件をしっかりと確認して基準をクリアできるかどうかを注意しなければなりません。指定申請には、人員基準、施設基準、運営基準、3つの基準が設けられています。
人員基準は、施設の中に指定された資格もしくは役割を持つ人員を配置しなければならないというものです。まず、管理者を明示する必要がありますが、これは特に何らかの職業資格を持っていなければならないという条件はありません。 資格保有者という点では、指導員または保育士と、児童発達支援管理責任者の配置が求められています。また、身体障害を持つ児童をケアする施設であれば、機能訓練担当職員を配置させることになります。また、重症心身障害児をケアすることが多い場合は、医療面でのケアができるように嘱託医と看護師が必要です。 施設基準は、安全かつ必要なケアを行うための十分な設備を持たせることを意図したものです。具体的には、指導訓練室の設置に加えて他に必要な設備や機器を置くことが定められています。指導訓練室内には専用の設備を置くことになりますが、放課後デイサービスのためだけに用いる専属機器とされるため、他の業務との兼用は認められていません。 運営基準には、運用人数についての指定があります。利用者定員は10名以上で、重症心身障害児が主な利用者の場合は、半分の5名以上と指定されています。利用者数とは別サービスの提供に伴う料金についての基準も定められています。保護者にサービスの内容や料金についてあらかじめ説明した上で、保護者から利用した分についての料金を徴収するという規定があり、支払いがなされた場合に領収書を発行しなければなりません。 こうした3つの基準を満たすことで指定申請が可能となり、放課後デイサービス開業への一歩となります。 指定申請の手続きは、自治体によって異なります。例として、東京都への申請手続きの仕方を確認してみます。 開業は法人格でないといけませんので、事前に法人を設立します。必要資金とケアのための計画書を作成しておきます。そして、上記の基準を満たせるかどうかを検討し、人員確保などの具体的な準備を進めます。 自治体により定期的に開催されている「障害児通所支援事業所指定協議説明会」に参加し、事業に関わる説明を受けます。説明会に参加後、指定申請の希望日から4か月前までに、担当部署へ相談をします。具体的な運営についてのプランを話し、どんな注意点があるかなどを話し合うことになります。 相談後、必要な条件を満たしていることを確認してもらうための報告を上げます。利用する施設や人員の確保や調整ができていることを伝え、指定希望日の2か月前に全ての申請書類を送ります。この段階で施設における設備設置や内装など、諸々の準備を完了させておく必要があります。その後、自治体担当部署による面接や施設のチェックなどが実施され、問題がなければ希望日に指定されることになります。 放課後等デイサービスは障害児を対象としたものですので、安全かつ適正なケアを行うために、明確な施設と人員についての基準が定められています。また、開業する前にどちらの面でも条件を満たしていることを示さないといけません。特に施設基準については、担当者による現地確認がある関係で、指定希望日の2か月前には準備を整えておく必要があります。開業予定日よりもかなり前から、サービスを提供できる状態を整えておく必要があるということで、余裕のある準備プランを立てなければなりません。
また、資金という面でも、準備期間が長いため、実際のサービスを提供して料金を受け取れるまでにかなりの空白期間があります。しっかりと資金プランを立て、問題なく開業できるように注意しましょう。