2020.11.03
SSTは社会的に必要とされるコミュニケーション能力や組織力など、いわゆる「社会力」を高めるための訓練です。 そのため、単に話の形で講義したり、プリント学習をしたりすることで実施するタイプのトレーニングとは異なり、目的に応じた教材を使って訓練を進めていきます。児童福祉の現場においては、一般的な研修の方法ではなかなか集中力を持続させたり理解してもらうことが難しいので、興味を引くためのツールとしての役割もあります。 具体的には、カードゲームをしたり何らかの作業をグループワークとして行うことが多くあります。特にカードゲームは、年齢や知能指数などの違いがあっても使いやすいというメリットがあり、同時に知能訓練を行えるということで、取り入れている施設も多く見受けられます。 また、CDやDVDという視覚教材を使うのも一般的です。具体的な状況をビデオにして見せることによって、イメージしながら学べますし、体系的に訓練を施していけるというのもメリットです。ただし、DVDの種類は多くはなく、ある程度限定的になってしまうことから、メイン教材というよりも、他の手法によるSSTをメインにしつつ、補助的な役割としてこうした視覚教材を使うことができます。 作業療法のアイディアを取り入れたSSTの手法もよく見られます。講師と対象者との間での対話形式で疑似的な訓練をしていくという方法です。この場合、講師が相手の反応に合わせて巧みに誘導できるため、それぞれの人に最適な訓練を施せるというメリットがあります。似たような手法としてはロールプレイがあります。受講者をいくつかの役割に分けて、それを演じさせるというものです。企業などでは、よくクレーマーとそれに対応する社員、業務マネジメントを行う上司とその部下といった形で役割を付けて、実際に起こりえる状況を想定してロールプレイをします。 このように、SSTは対象者自身が参加できる教材を使うことによって、訓練の効果と効率性を上げられるという特徴があります。最近はスマホやタブレットのアプリ、パソコンのソフトを使って訓練をするという動きが強くなっています。 SST関連の研究会や児童福祉についての研究会でも、有用性が見られるアプリが取り上げられることもあります。そうしたことから、SSTに使われる教材のデジタル化が進んでいることが分かります。教材は、タブレットやスマホがあればどこでも使えるため、場所を選ばないというメリットがあり、たくさんの対象者で一緒に使えるというのも便利な点です。 SSTに使えるアプリとしては、以下のようなものがあります。 普段の生活のいろいろなシーンを写真に収め、アプリの中に登録します。対して、テキストでそのような場面でどんな行動を取れば良いのか、相手に対してどんな言葉をかければ良いのかなどを記します。こうすることで、写真による具体的なイメージと実践すべきポイントを一緒に印象強く覚えることができるというわけです。
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特別支援を必要とする児童など、能力の異なる児童でも使いやすいシンプルなSST向けアプリとなっています。簡単な操作で様々な条件下でのイメージトレーニングができるようになっており、繰り返し使うことで、社会生活を送るための能力を学習できるのが特徴です。
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マインドマッピングを通して、コミュニケーション能力を向上させることができるアプリです。考えや感情を自分の中でまとめる訓練をするのにも役立ちます。ツリー状のグラフ形式になっていて、直感的に考えをまとめていけるのが特徴です。対象者の状況を分析するのにも使うことができます。操作自体も分かりやすいので、現場での導入が楽という点もメリットといえます。
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VRソーシャルスキルトレーニング「emou」は、学齢期の対人関係や集団行動から就職活動における面接対策、職場体験など、 人生を上手に営んでいくための技能を獲得する学習プログラムです。「あたかもその現場にいるような仮想体験」が可能なVRを用いて、日常のリアルな場面再現が簡単にできるため、経験の浅い支援スタッフでも良質なトレーニングを提供することができます。
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