幼年期における自閉スペクトラム症〜特徴、具体的な行動やサイン〜(1) | ソーシャルスキルトレーニングVR

2019.06.10

ここからは年代別に、自閉スペクトラム症の方たちに見られる特徴を紹介していきます。 年代問わず、自閉スペクトラム症には共通した三つの特徴があることはお話してきた通りです。しかし、取り巻く状況や環境の違いによって、見えてくる兆候も異なり、直面する社会的な問題も変わってきます。   まずは幼少期における自閉スペクトラム症についてお話ししていきましょう。 自閉スペクトラム症は、<スペクトラム(連続性、境界が曖昧な)>という言葉にも表れているように、その症状の現れ方や困り感はお子さんによって千差万別です。特徴が強く出ている子もいれば、あまり表面化しない子もいます。お子さん自身の発達や成長に伴った環境変化等でも、症状の現れ方や困難さは変化していきます。   自閉スペクトラム症のお子さんが示す特徴的な言動の背景には、共通した特性が考えられます。 例えば、お母さんが指を差して伝えたものをさっぱり見てくれないという場面や、砂場遊びで物の貸し借りが上手くできない場面、2人でボール遊びをはじめたはずがいつの間にか1人で遊んでしまう場面。さまざまな要因が考えられますが、これらはどれも、共同注意(他者と同じものに注意を向けること、またはそれを認識する力)の発達が遅いことが、背景にあると考えることができます。共同注意は、相手の気持ちを想像したり共感したりすることにもつながるため、社会性やコミュニケーションの発達の基礎となります。幼児期は、お子さんの興味関心に合わせて焦らずじっくりとこの力を育てることが大切です。   ◆視線が合いにくい ◆表情の変化が少ない ◆名前を呼ばれても反応しない ◆抑揚のない話し方をする ◆人よりも物に関心を示すことが多い ◆オウム返しが多い ◆一方的に話すことが多い ◆好きなもののことを語りだしたら止まらない ◆集団におけるルールが分からない ◆激しい癇癪を起こしやすい ◆繰り返しの動き、遊びを好む ◆食べ物の好き嫌いが激しい ◆ある物事への強いこだわりを持つ ◆一人遊びを好む

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VRによるSSTの無料デモ体験はこちら   自閉スペクトラム症のお子さんの中には、周囲に対しての関心や興味が非常に限定的なタイプの子がいます。このため、親御さんや保護者の方が話しかけても視線が合わなかったり、呼びかけに応じなかったりすることもあります。 お話ができるようになったお子さんでも、会話の内容や言葉の意味をきちんと理解できていない場合があります。そのために、親御さんや保護者の方がなにか話しかけても、その内容をそのまま繰り返すだけになってしまいます。「〇〇で遊ぶ?」と聞いても、同じように「〇〇で遊ぶ?」とオウム返しをしてしまうのは、言葉の意味を理解できていないからかもしれません。   想定外の出来事や計画の急な変更に直面した際、私たちはその経験を蓄積させながら、柔軟に対応できるようになっていきます。しかし、自閉スペクトラム症を抱えている子供たちは、それがとても苦手です。分からない未来のことや現状の変化に対して不安を感じているからこそ、現状に対して強いこだわりを見せるのです。 自閉スペクトラム症の子供のなかには、飽きることなくその場で飛び跳ね続けたり、電気のスイッチを入れたり切ったりし続けたりする子供がいます。こうした行動は、「常同行動」と呼ばれています。 同じ行動を繰り返すのは、変化を嫌っているためです。同じ行動に没頭することで安心を得ていたいという欲求の裏返しとも言えるでしょう。逆に言えば、常同行動が頻繁になってきていれば、それは子供の心が不安定になっていることを示している場合もあります。   常同行動以外にも、常に同じ洋服を着たがったり、おもちゃの置き方に執着したりするなど、お子さんが強いこだわりを見せる場合は多くあります。そうしたこだわりを崩されると、変化への不安から気持ちを抑えることができず、パニックになることもあります。 例えば、おもちゃをきちっと一列に並べることにこだわるのは、自分の中に持っている一定の秩序へと自分の周囲の状況を整えることで、自分の気持ちを落ち着かせ、安定させようとしているからかもしれません。状況に応じて気持ちを切り替えることが苦手だということを理解し、周囲は無理に変化を求めないことが大切です。

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