2021.02.22
発達障害を抱える児童は、様々なシーンで支援を受けることで生活能力を身につけ、成長していくことができます。しかし、発達障害は個々の障害特性や程度が異なるため、皆を一斉にサポートすることが適切とはいえません。 そのため、各々のペースで発達障害を乗り越えられるよう、支援者側が個別支援計画を行う必要があります。今回は、個別支援計画の内容や重要性について解説します。 個別支援計画とは、厚生労働省が推奨する社会福祉施設を利用するにあたり、本人が自立して日常生活を送れるようにサポートするための支援内容を記したものです。 支援者は、事前にガイドラインで推奨されているアセスメントツールを用いて、児童個人の状態と特性を判別することが求められています。科学的かつ客観的な障がいの判断内容で、具体的にどのようなケアを行う必要があるかを示した計画となります。また、どのような状態を目指すのか、一人ひとりのニーズや関心を組みながら作成されます。 本人と家族が「どのように日常生活を送っていきたいか」も個別支援計画の内容に組み込まれます。目標に達するために、どのような支援を行うか、生活の質を上げるために必要な課題を洗い出します。さらに、支援者がサポートすることでどの程度まで改善されるか、いつ改善されるか(期間)、その他の注意点などが記されることになります。 発達障害者のための個別支援計画とは、社会福祉施設ごとに異なる内容で作られています。例えば、放課後等デイサービスにおいて、児童のサポート内容や指導内容を個別に示したものです。 個別支援計画は、あくまでも社会福祉施設におけるサポートに限定されており、他の計画と併用されています。例えば、施設利用者の生活全般、及び福祉制度を利用する際の全般的な計画(サービス等利用計画)では、学校やデイサービスなどでの支援、家庭におけるケアなど、障害児童を助けるためにあらゆる状況を適用できる計画です。 また、「個別教育支援計画」では、学校施設における支援の方向性を示すためのものです。支援学級もしくは独立した支援学校で、どのようなサポートが必要かを決めます。 これら支援計画はそれぞれ異なるものですが、基本的な概念や目指すところは同じで、すべてが連動して機能します。 個別支援計画を作成するには、資格保有者によるツールを用いたアセスメントを実施します。アセスメント内容を事業所スタッフ内で共有し、状態の把握と支援内容について議論します。支援の方向性が決まり次第、支援担当者やサービス管理責任者がまとめ、個別支援計画を作成します。完成した計画書を本人と保護者へ提示し説明を行います。支援内容を確認後、署名・捺印をいただくことで個別支援計画の策定が終了となります。 個別支援計画は社会福祉制度の一環で、デイサービス等を利用する際に必要となり、作成しないと減算対象となります。本人もしくは家族の了承まで完了していない場合だと、作成をしたと認められませんので注意が必要です。 ①資格保有者によるアセスメント実施 ②アセスメント実施結果を事業所内で共有し計画の方向性を決定 ③支援者が具体的な支援プログラムを作成 ④本人と保護者の確認 ⑤個別支援計画の完成 個別支援計画の作成について、全国各地の自治体でガイドラインを出しています。 例えば、個別支援計画に含めるべき内容として、目標設定に本人の意向を尊重することが注意点として示されています。計画策定におけるプロセスを示すと共に、それぞれのプロセスにおいてこうした注意点が示されていますので、ガイドラインを参照しながら作成していく必要があります。 個別支援計画を作成するにあたり、厚生労働省や全国各地の自治体でガイドラインが公開されています。ガイドラインやフォーマットなどを参考にすることで、適切な個別支援計画を作成することができます。個別計画作成後も、支援経過記録表や変更表などのツール、システムを活用することで、適正に支援の実行に役立ちます。