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2019.6.20

幼年期における自閉症スペクトラム障害〜特徴、具体的な行動やサイン〜(2)

<年代別に見る自閉症スペクトラム障害-障害の兆候、具体例、支援のヒント>

ここからは年代別に、自閉症スペクトラム障害を抱える人たちに見られる特徴を詳しく紹介していきます。

 

●幼少期の特徴的な行動⑤-興味のある物事への強いこだわり-

興味や関心が限定的であることは、大半の物事に関心を示さないことでもありますが、同時に好きなものには非常に強いこだわりを見せるということでもあります。

興味を惹かれたものを熱心に集める子供もいれば、特定の事柄に関連する情報をひたすらに記憶している子供もいます。例えば電車に興味を示す子供であれば、鉄道マニアも驚くほどの知識を持っていたり、あらゆる路線の駅名をそらんじてみせたりします。

普段は無口でおとなしいのに、好きなものの話題になった途端に饒舌になる場合もあります。相手が別の話題に移ろうとしていても、お構いなく一方的に話し続けてしまう場合も多く、そのために良好な友人関係を築けなくなってしまうことがあります。

 

●幼少期の特徴的な行動⑥-ごっこ遊び、見立て遊び-

自閉症スペクトラム障害には、想像力の困難という特徴があることは先に説明した通りです。架空の状況を想像したり、状況に合わせて柔軟に対応したりするということが苦手なのです。

このため、あるシチュエーションを設定し、その役柄を演じるという「ごっこ遊び」が、自閉症スペクトラム障害を抱えた子供には難しく、楽しめない場合が多いようです。遊んでいる相手に合わせて遊びを展開させていく柔軟性も必要になるため、決まりきったあらすじを好む子供にとっては、どうしても馴染めないのでしょう。また、積み木を車に見立てて走らせて遊ぶような「見立て遊び」も、同様の理由から好まないことが多くあります。

 

●幼少期の特徴的な行動⑦-状況に合わせた柔軟な対応が苦手-

逆に、「なにをすべきで、なにをしてはいけないか」というルールが明確に決まっていれば、変化に伴う不安を感じることは少なくなります。自閉症スペクトラム障害を抱える子供のなかには、定められたルールをとにかく忠実に守ろうとする子供がいます。

もちろん、ルールを守ろうとするのは良いことですが、ルールの順守にこだわるあまり、例外的な事態に柔軟に対応することができなくなってしまうことが問題になります。

例えば幼稚園におけるトイレの順番待ち。ある子供が腹痛のため、どうしても早くトイレに行きたくなったとします。その子の様子や顔色を見て、周囲の子供たちはかわいそうだと順番を譲ってくれるかもしれません。

しかし、自閉症スペクトラム障害の子供は、ルールにこだわりすぎて、ルールから外れる行動に怒ったり、かんしゃくを起こしたりしてしまいます。こうした対応が原因で、周囲の友達から「冷たい」「融通が利かない」と思われることもあります。

 

●脳の伝達機能が原因で身体に問題が現れることも

自閉症スペクトラム障害を抱える子供たちのなかには、ある特定の刺激に対して、独特な反応を示したり、体の動かし方が不器用だったりする子供がいます。これは、受けた刺激を感覚として脳に伝え、それを脳から身体へと伝える過程に問題があるために起こります。

感覚の違いや体の動かし方は、周囲はもちろん、本人にも他の子供との違いが認識しづらいものです。周囲の理解が進みづらく、場合によっては、自信の喪失や周囲からの孤立という事態にも繋がりかねません。

 

●感覚の偏りを示すサイン

【視覚】
◆特定の模様に遠くからでも気が付く
◆文字や数字に興味を示さない
◆日の光を過剰に眩しがる

【聴覚】
◆特定の音、大きな音を嫌がる
◆外に出たとき、周囲の音が同じ大きさで聞こえて混乱する

【嗅覚】
◆食べ物の匂いで気持ち悪くなる

【味覚】
◆特定の味や食感にこだわり、偏食が激しい
◆決まった温度や味付け以外の食事を受け付けない

【触覚】
◆抱きしめられると圧迫感で苦しくなる
◆人形や布など特定のものをずっと触っている
◆自分を傷付けることがある

 

●感覚の偏り①-感覚過敏-

自閉症スペクトラム障害を抱える子供のなかには、五感をはじめとした感覚がとても鋭敏になる子供がいます。そうした子供にとっては、日常生活において接する様々な刺激に身体が敏感に反応してしまうため、強いストレスに日々晒されることになってしまうのです。

子供によって、何を過敏に感じるかは異なります。例えば聴覚だけをとっても、電車の特定の駅の発車ベルがとても苦手だったり、トイレの乾燥機の音で頭痛を感じたり、スタート合図としてのピストルの音でパニックになったり、子供によって苦手とするものは様々です。

 

●感覚の偏り②-感覚鈍麻-

逆に、特定の感覚がとても鈍感になる子供もいます。触覚が鈍麻している場合、血を流すほどの怪我でも、特に気にしたそぶりを見せなかったり、パニックになったときに自分の腕を強く噛んでしまったりしてしまいます。痛みに鈍感なゆえに、自分を傷つけるような行為に及ぶ危険もありますので、この場合は親御さんや保護者の方はとりわけ注意が必要です。

 

●動きのぎこちなさ-発達協調性運動障害-

身体の各部位を別々に動かすことはできても、それを連動させながら同時に動かすことが苦手な子供もいます。これは発達協調性運動障害(Developmental Coordination Disorder:DCD)と呼ばれ、自閉症スペクトラム障害にしばしば見られる症状の一つです。

発達協調性運動障害の場合、ボール遊びや縄跳びなど、身体の各部を連動させる動きが必要になる運動を苦手とします。また、普段の生活においても、歩き方に不自然なところがあったり、ドアを必要以上に力強く閉めたりする場合には、発達協調性運動障害の疑いがあります。

 

●苦手なことばかりじゃなく、得意なこともある

ここまで簡単に、幼少期に見られる自閉症スペクトラム障害の特徴を説明しました。上記のような特性を見れば、一般的な育ち方をした子どもに比べてマイナス面ばかりが目立ってしまいます。

しかし、自閉症スペクトラム障害を抱える子供たちには、苦手なことや難しいことが多くある一方で、他の子供たちにはない素晴らしい能力や才能を持っている場合もあります。とびきり優秀な記憶力を持っていたり、芸術的な素晴らしい才能を持っていたりする子供もいます。社会に出て、自閉症スペクトラムを抱えながらも、大きな成功を成し遂げたり、世界で活躍したりする方々も大勢いらっしゃいます。

 

●自閉症スペクトラム障害に伴う苦手なことも「その子らしさ」

困難や問題を抱えていることは確かですが、同時に得意なこともあるのだということも忘れてはいけません。子供にはそれぞれ得意なこともあれば、苦手なこともあります。それは普通のことです。得意なことも苦手なことも含め、それらがまるごと「その子らしさ」です。

自閉症スペクトラム障害を病気としてではなく、持って生まれたその子特有の性質、あるいは個性の一つとして捉え、子供を受け止めてあげることが親御さんや保護者の方々には重要です。

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