ニュース > お役立ち記事

一覧へ戻る

2019.7.17

ライフステージごとの支援のポイント〜思春期(中学校・高校)①〜

<ライフステージで異なる支援のポイント>

自閉症スペクトラム障害がもたらす困難は、子供から大人まで問題の現れ方は様々でも、大きな三つの特徴によって引き起こされるものです。こちらでは、それぞれのライフステージにおいて、自閉症スペクトラム障害と向き合うためのポイントをご紹介していきたいと思います。

本人や保護者を取り巻く環境がどのように変わり、それぞれにどのような選択肢があるのか、親御さんや保護者などの周囲の人たちはどのように関わっていけばいいのかを、ライフステージごとに細かく見ていきましょう。

 

<思春期(中学校~高校)>

中学校や高校における学生生活は、教科ごとに先生や教室が変わったり、持ち物の管理も複雑になったり、部活動が始まったりと、これまた小学校とは大きく変わるところが多くあります。子供たち本人に任される部分も多くなることで、自閉症スペクトラム障害を抱えた子供たちのなかには混乱が生じてしまう子供も少なくありません。

そうした環境の変化のなかで、子供たちの意思や判断を尊重してあげたり、自分でなにかに挑戦する機会を意図的に作ってあげたりすることが大切になってきます。

 

●中学や高校を選ぶ際のポイント-子供の意思を尊重してあげることが大切-

中学校以降の進路は、子供自身の気持ちや希望をできるだけ尊重してあげるようにしましょう。もちろん子供に丸投げするということではなく、家族や保護者が子供と一緒になって考えていくことが重要です。

小学校を振り返り、今後はどうしていきたいのかを子供とよく話し合い、子供の気持ちをきちんと確認してから進路を決めるようにしましょう。学校生活が辛かったとしても、それを我慢してしまったり、うまく言葉で伝えられなかったりする場合もあります。子供の様子を注意深く観察し、必要ならば先生や療育スタッフ、医師に相談してみるといいでしょう。

 

<思春期に現れやすい二次障害>

精神が比較的に不安定な思春期には、うつ病や不登校などの二次障害が起こりやすい時期でもあります。とりわけ二次障害の原因になりやすいのが「いじめ」です。

誰にも相談できず、自分で抱え込んでしまう子供も多いため、日頃から家族や保護者が子供を注意深く見守ってあげ、できるだけ早く問題に気付いてあげることが大切です。また、家庭だけで悩まずに、先生や医師、保健所の児童発達相談など関係機関に相談してみましょう。

自閉症スペクトラム障害を抱えた子供たちは、障害の特性から困難にぶつかることも多く、周囲の理解を得られずに孤独になってしまう場合があります。子供が本人なりに頑張ってみても、どうにもうまくいかないこともあるでしょう。学校における友好関係をうまく築けなかったり、勉強についていけなくなったりすることもあります。

 

●自信や自尊心の喪失が二次障害を招く

「努力しても報われない」「どうにもうまくいかない」「失敗ばかりしてしまう」。こうした心の傷が積み重なることで、自分はダメな人間なんだと自らを責めるようになり、子供は自信や自尊心を失ってしまいます。

こうした自信の喪失が原因となって、下記のような二次的な問題を引き起こしてしまうことを「二次障害」と呼びます。周囲の理解が進んでいないと、二次障害の症状を「わがまま」「わざとやっている」などの身勝手と受け止められ、問題が更に深刻化する場合もありますので注意が必要です。

 

●二次障害の症状

・身体的な不調(頭痛、不眠、食欲不振など)
・精神的な不調(過剰な不安や緊張、うつ病、不登校、引きこもりなど)
・問題行動  (暴言、暴力、非行など)

 

●不登校①-子どもの特性に対し学校の理解を得る-

学校生活における二次障害の代表例が不登校です。周囲の理解が得られず、学校生活に生きづらさを感じることで精神的な不調に陥り、学校に行けなくなってしまう子供たちは多くいます。いじめが原因になっている場合もあります。

学校生活に問題を抱えている以上、先生を含めた学校関係者との話し合いは不可欠です。しかし、教員による行き過ぎた指導が不登校の原因となっている場合もあることには注意が必要です。自閉症スペクトラム障害の特性や子供の行動をよく理解していないために、指導を受け入れない子供ばかりに原因を求める教員もなかにはいます。じっくりと時間をかけて相互の理解を作っていくことが大切です。

 

●不登校②-インターネットのやりすぎに注意-

近年ではインターネット環境が発展してきたこともあり、不登校の原因がネット依存症という場合もあります。自閉症スペクトラム障害を抱えた子供は、一度興味を持つとなかなか抜け出せなくなってしまうので、ネット利用の際には注意が必要です。

オンラインゲームやSNSなどのWebコンテンツにのめりこんでしまい生活リズムが乱れると、そこから不登校につながる恐れがあります。利用時間は事前にきちんと決めておくこと、それでもやめられない場合には電源を切ってしまうなど物理的に対応することも、場合によっては必要になります。

 

●不登校③-登校を継続的にするためにはSSTが重要-

不登校という問題は、再登校させれば終わりというものではありません。当然ながら、またすぐに学校に行かなくなってしまう可能性もあるからです。子供が継続的に登校できるようにならなければ解決とは言えません。

つまり、無理に登校させても問題は解決しないのです。失われた自尊心を取り戻し、自己肯定感を高めてあげなければなりません。ですから、不登校になった原因を特定し、それを取り除いてあげる必要があります。

例えば、子供のコミュニケーション能力に問題があって不登校になっているのであれば、これに対応したSST(社会生活技能訓練:※詳しくは「SST」の項を参照)を行って、学校生活を無理なく過ごせるような知識や能力を身につけなければなりません。

 

●二次障害を防ぐための家族の関わり方-子供の特性を理解してあげる-

二次障害を予防するためには、家族や保護者が子供の特性にいち早く気付いてあげ、そして子供を理解してあげることが不可欠です。子供の特性に気付いてあげられず、自閉症スペクトラム障害に特有の行動を叱ったり嘆いたりすることで、子供はストレスや恐れを感じ、さらなる二次障害を引き起こしてしまう危険もあります。

子供の特性を理解し、それに対応した接し方や育て方をしてあげることがとても大事になります。延いてはそれを周囲にも広めて理解を求めることで、子供がストレスなく生きやすい環境を作っていくことが重要です。

 

●子供に自信を持たせ、自己肯定感を高める

学校生活における失敗や生きづらさは、子供の自信を奪います。すると、子供はストレスや不安を掻き立てられ、二次障害に繋がってしまうのです。

ですから、本人が自信を損なわないようにしてあげることが大切です。子供が頑張っていることを認めてあげること、そして褒めてあげることが、子供の自信を育てます。

子供が自分のことを好きになり大切にできるような対応をしてあげましょう。子供が自分自身を認めてあげる感覚、つまり自己肯定感を高めてあげることが、なによりも二次障害の予防には必要なのです。

 

●自信を高めることで二次障害を防ぐ

失敗してしまったとしても、それを責めたり叱ったりしてはいけません。「失敗しても大丈夫だよ」「よく頑張ったね」「次は頑張ろう」と声をかけてあげ、努力を認めてあげること、「失敗しても次に頑張ればいいんだ」という安心感を子供に与えてあげるように心掛けてください。

「自分は大切にされている」という実感を子供が持てるようにすることが非常に大切です。その実感が子供の自己肯定感を育み、自分に自信が持てるようになるのです。

このような感覚を持っていれば、失敗や挫折を経験しても、簡単には挫けない強い心を子供は持てるようになります。そして、そうした自信や強い心を持つことで、たとえ自閉症スペクトラム障害を抱えていても、子供は二次障害には陥らず、困難に立ち向かうことができるようになるのです。

最新ニュース

記事一覧 >