2021.02.22
発達障害の程度や傾向を判定するためには、アセスメントツールを適切に用いることが重要です。そのために、様々なツールが開発されています。そのうちの一つがVineland-II(ヴァインランド2)と呼ばれるものです。様々な場所において利用されることが多いツールですので、その中身をきちんと理解しておくことは重要です。 同時に、誰が用いて判定を行うかなどの資格についての知識も取り入れておきましょう。有用なツールを最大限利用して、発達障害者へのケアを効果的に行っていきたいものです。 Vineland-II(ヴァインランド2)とは、アメリカにおいて開発された、適応行動に関する能力を測るためのツールです。発達障害の程度を分かりやすく数値化することができるため、国際的に用いられております。日本においては、国内向けに改良された日本版が用いられるのが一般的です。 日本版では、日本人の事例を収集してデータ化した指標を加えてより実践的にしていると共に、日本独自の生活習慣に合わせて判定基準が組まれています。このツールだけで判定をするというよりも、ADOSや認知検査など、他のツールも用いて総合的に判定を行います。特に、自閉症スペクトラム障害などの発達障害のアセスメントに利用されています。 適応行動とは、自分自身及び社会的な満足感を得るために行う日常生活の行動という定義の上で判定を行っています。そのため、年齢や周りの環境などの影響を加味して評価がなされます。また、現在の行動状況に基づいて数値化がなされ、潜在能力を含む可能性については排除して判断をします。 その上で、コミュニケーション領域や日常生活スキル、社会性、運動スキルといった内容に分け、各項目ごと判定をします。評価は0~2までの三段階で行われます。 アセスメントは、客観的な基準において、発達障害者の状態や傾向を判断するのに役立ちます。本人や家族が発達障害について判断に悩んでいる場合、科学的で客観的なアセスメントを行うことで、施設利用の重要性を理解するのにも効果的です。 また、定期的に行うことで、発達支援に効果が出ているかを把握する助けとなりますし、特に発達障害者支援施設に入所する際に利用することによって、適切な支援計画の立案をするのに役立てられます。 入所時にしっかりとしたアセスメントを行うことによって、施設でのサポートを受けていくことで療育の結果を確認するためにも役立ちます。目標設定や支援計画の分析にも用いられますので、客観的な評価がなされることは、支援をするスタッフと施設にとっても重要とされています。 前述の通り、Vineland-IIは国際的にも有用度が高いことが認められているツールであり、日本でも厚労省のガイドラインで推奨されています。 何らかの事情で利用者が他施設に移ることになっても、共通のツールに基づく指標があるため、障害の程度を共有しやすくなります。 Vineland-IIは、明確な調査内容と判断基準の指標が設けられていますが、アセッサーによって判定の結果が異なる可能性があります。そのため、正確に判断をするため、一定の資格を持っていることを条件としています。ガイドラインによる資格レベルは「3」とされており、大学院などで心理検査や心理測定を履修した人に当てはまります。教育課程でそれぞれの判定基準の中身と数値化の手法について学んでいますので、客観的な判断ができるのがメリットです。 アセスメントをすることも大切ですが、内容に基づいて適切な個別支援計画を立てることも非常に重要です。Vineland-II(ヴァインランド2)は、行動面における能力を測るツールの一つですので、他の検査や観察を行った上で、すべての内容を突き合わせて総合的に分析と判断をすることが求められます。言語能力や認知能力などの状態も踏まえて、日常生活をより良く送れるように、実践的な支援プランを作るようにすべきと考えられます。