自己紹介のVRコンテンツで「第一印象」も学べる講座に。受講者の力量や課題にあった支援が可能【コンテンツ利用事例:株式会社LPH様】 | ソーシャルスキルトレーニングVR

2021.03.24

<株式会社LPH>

東京都新宿区で障害者就労移行支援「カレント」を運営。利用者の状況やニーズに合わせ、ひとりひとりの「働く」を見つけるサポートをしています。その人にあった「やりがい」や「楽しみ」を見つけられるように支援を行い、様々なプログラムを提供しています。プログラムの一つとしてemouを利用したSSTを実施されている石津様、岩見様に具体的なコンテンツの使い方について、お話をお伺いしました。

emouを導入して1ヶ月が立ちましたがどのようにご利用いただいていますか?

当施設の支援プログラムのスケジュールは1ヶ月単位で事前に決めています。
そして、現在はemouも1講座1時間でスケジュールに組み入れています。
1回のemouの参加人数は2〜3名ほどで、基本的には、利用者のフェーズに応じて、実施するコンテンツに合う人を選出して体験してもらっています。

最近よく使っているコンテンツは就労編自己表現A1-01『自己紹介』ですね。入社直後の職場で、一緒に働く同僚や上司に対して自己紹介をするトレーニングです。毎回違う参加者に体験してもらい、このコンテンツを使った支援は何度も実施しています。

まだ導入して1ヶ月ということもありますので、通所されているほとんどの皆さんがこのコンテンツを体験されましたら、次の別コンテンツでトレーニングを進めてみようかなと考えています。

プログラムでのコンテンツの具体的なご利用方法を聞かせてください。

事前にVRを使ったSSTについて説明

まずはVRを使う前にSSTの告知をします。
「VRを使ったSSTとは」や、「VRを使ってSSTをやる目的」などを書いた資料を配布して、読んでいただいています。当施設では、何事に関しても、『◯◯を、△△という目的でやる』という共通認識を持った上で支援を実施するようにしています。

利用者に目的などを説明しないで行ってしまうと、「なんでこれをやっているのか?」と疑問に思われてしまうので、私達は事前の共有を大事にしています。

アイスブレイク

利用者はグループになりアイスブレイクを行います。
個人間の話など、VRには関係のないことを話し合いリラックスしてもらいます。

②コンテンツについて説明

次に、今日実施するコンテンツについてスタッフからお伝えします。
VR体験するコンテンツ「自己紹介」について、選択肢や発言パートの有無など、また、「新しく入社した会社で自己紹介をする場面」、「選択肢はないですが、自由に発言する時間があります」などと概要を説明します。

③VR体験

説明の後は、「このコンテンツは自由に発言する場面があります。それがどれくらいの長さなのかも含めて、一回VRを見てみましょう」と声掛けし、1回目のVR体験をしていただきます。
その時に、(コンテンツ内に表示される)「黄色いバーは残り時間です」などと、実際に見たうえでの補足の説明をします。

1回目のVR体験が終わりましたら、「次に、スタッフの方からは何も言わないので、自由に発言してみてください」とお伝えし、VR体験していただきます。
2回目のVR体験で、うまく自己紹介の発言ができない場合は、続けてもう一度体験してもらうようにしています。

④内容確認/ディスカッション

2〜3回目のVR体験が終わったら、内容確認をディスカッション形式で行います。

どのような場面で、誰がいて、どのような内容だったかなどをひとりずつ当てていき答えてもらいます。
利用者からおおまかな内容を答えてもらった後には、セッションシートに従って「登場人物の名前って覚えていますか?」 など更に細かな質問を投げかけ、ちゃんと内容を理解できているかの確認をします。

また、内容理解の確認を行うとともに、利用者とスタッフ間で、コミュニケーションを深めていきます。
例えば、「(VR動画では)清水さんと、広瀬さんと、部長がいましたが、清水さんにどんな印象を持ちましたか?」と質問をしたところ、利用者からは「軽そうなノリの人だった」「おもしろそう」「頼りになりそう」 といった感想が出ていました。そこで、スタッフの感想も伝えてお互いの意見を交換します。

今回は登場人物の印象についての意見が活発に出たことから、「第一印象」をテーマにして、ディスカッションを続けます。登場人物に対しての感想に「怖そう」との意見が出た時には、「そう思った時の第一印象はどこで判断しましたか?」と話を繋げていくようにしました。

テーマに合わせながら、利用者の意見に応じて質問をしていくようにしています。

ディスカッションの最後に、ここまでの会話の流れを踏まえて、「自分が自己紹介をするときに気をつけるべきこと」を考えてもらいます。
利用者からは、「事前に自己紹介の内容を用意しておこう」「予め何を言うかを考えておこう」「自己紹介の型を作っておこう」などといった声が挙がっていました。

また補足ですが、当施設「カレント」では、スタッフとロールプレイなどで練習ができる機会も設けています。
このVR体験で学んだことを活かして、実際の自己紹介の場面に向けていつでも練習しましょうと案内しています。

内容の確認や質問をする際はなにか工夫している点などはありますか?

テーマはVR体験の意見や感想から導き出す 

最初からテーマを決めてしまうのではなく、利用者との会話の中で臨機応変に対応しています。

コンテンツ「自己紹介」のセッションシートでは「自己紹介は何のために行うか」ということが記載されていますが、実際のVR体験後の内容確認&ディスカッションの時に、登場人物に対する意見が多く出てきたことから、「第一印象」をテーマにして進行しました。

クローズド・クエスチョンとオープン・クエスチョンをうまく組み合わせている

質問する際は、利用者の理解度を推測して相手が答えやすいような内容で質問しています。
最初から「どんな状況だった?」などとオープン・クエスチョンで質問をする場合もありますが、人によっては「はい」「いいえ」で答えられるクローズドクエスチョンの質問をして、慣れてきたら掘り下げた質問をするようにしています。

例えば、自分の思いを上手く伝えられない人は、質問に対して「特にありません」と答えることがあります。
そもそもの答え方がわからないのか、それとも考えを上手く発言できないということなのか、を見極めるために、まずはクローズドで質問をしたうえで会話を引き出しています。

ご丁寧に教えていただき、ありがとうございます。就労移行支援でのemouのご利用方法の具体例としてとても参考になりました。
今後もemouを利用した支援を進めていくうえでの、効果的な進行方法や、ご意見などをお聞かせください。 

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