ADHDは多くの行動的症状を伴う発達障害の一つであり、小児期に発症するケースが多い一方で、近年は成人してから悩む人も増えています。しかしこれまでの研究により、徐々に有効な治療方法や改善方法が確立されつつあります。
ここではそのようなADHDの改善方法の中から、医療機関に頼らずに改善を図るトレーニング方法について解説します。また、手軽に入手できる書籍についてもご紹介します。
「ADHD(Attention Deficit Hyperactivity Disorder)」は、注意欠陥・多動性障害などとも呼ばれ、ほとんどのケースは小学校期に発症が確認されます。少年期には症状が現れる頻度が多くなり、やがて青年期になると安定傾向に向かいますが、成人後まで残るケースも少なくありません。また、女性よりも男性に多いという特徴もあります。
1.1原因と特徴
ADHDの原因は、まだはっきりと特定されてはいません。現在考えられている原因としては、個人の気質によるものと環境要因、そして先天的な要因が挙げられます。特に、先天的に脳に何らかの機能的な問題があることが主要な原因としていわれています。
脳の異常については2つの可能性があり、一つは人間の精神的活動に関わるとされる前頭前野に、ある種の機能的異常がある可能性です。もう一つは脳内の神経伝達物質が不足しているか、もしくは神経伝達物質のやりとりがうまく働いていない可能性です。
ADHDの特徴は主に3つに分類されています。まず「不注意さ」で現れるのは、我慢や集中力の持続ができないため気が散ってしまい、現在やるべきことに手がつかないという症状です。忘れ物が多かったり、物をなくしたりすることも典型的な症状です。
「多動性」として現れるのは、落ち着いていられず常に動き回ることや、そわそわして手足を動かしたり、何かに触ったりする症状です。また「衝動性」では、周囲の状況を考えず即座に行動することや、相手に合わせず自分のタイミングだけで話すことなどの症状が現れます。
1.2類似する発達障害
発達障害にはADHD以外にもさまざまな種類があり、特徴が似ている症状が見られる場合もあります。その中から代表的な例をいくつか挙げてみます。
・自閉スペクトラム症(ASD):コミュニケーション能力の欠如など、社会性に関する発達障害
・学習障害(LD):脳の発育は正常でありながら、文字や数の読み書きが極めて苦手な状態
・発達性協調運動障害(DCD):全身を使う運動や指先を使う運動などが著しく苦手な状態
これら以外にも反抗挑戦性障害、強迫性障害、不安障害などが発症すると、ADHDとよく似た症状が現れる場合があるので、正確に判断するためには医師の診断を受ける必要があるでしょう。
最後に、ADHDを自宅で改善するために活用できる書籍を2冊ご紹介します。これら以外にも様々な書籍が発売されているので、目的に合わせて探してみることをおすすめします。
自閉症アドバイザーと医学博士との共著により、遊んだり食事をしたりするときに、さまざまな「言葉かけ」をすることにより、ADHDの改善を自宅で行う手引きとなる本です。実際の購入者の中には、ほめて伸ばすことを実践してみて、かなりの効果を得たという人もおり、非常に内容がわかりやすいと好評です。
UCLAが開発したペアレントトレーニングをベースに、具体的な場面を想定しながら、自宅で保護者がADHDの改善を実践する方法を解説した本です。購入者のレビューでは、ADHD以外でも子育て全般に活用できるという声が多く、理論的で効果も期待できるという評価もありました。
ADHDの子どもと接することは、一般の人では難しいといわれています。しかし、改善のためには、子どもの日常的な環境を整えることが重要であり、周囲の大人も一緒になって療育に取り組むことが大切です。
ADHDの改善ポイントは、子どもをほめることと、子どもとその周囲が何ごとにもポジティブに向き合うことで、徐々にADHDの症状が改善されるかもしれません。そのためにも、子どもだけでなく周囲の大人も団結して積極的にトレーニングを実践する必要があるでしょう。
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