2021.07.06
正式名称「障がい者就業・生活支援センター」は、真ん中にある「・」から「なかぽつ」という略称で呼ばれています。障がい者支援において、なかぽつは地域の中核的な機関として機能する重要な存在です。
主に障がい者支援の窓口になっていますが、障がい者就労支援センターや就労移行支援事業所など、他の機関との違いがわかりづらいかもしれません。そこで、この記事ではなかぽつの役割と利用方法についてわかりやすく解説します。
なかぽつ(障がい者就業・生活支援センター)とは
なかぽつ(障がい者就業・生活支援センター)は、平成14年の「障害者雇用促進法」改正により創設されました。令和3年4月時点で、全国で336のなかぽつが運営されています。運営主体は都道府県が指定した、社会福祉法人、特定非営利活動法人、民間法人などです。
組織としては2~7名の就業支援担当者と、生活支援担当者1名によって構成されていて、具体的な支援活動そのものではなく、各種支援機関と障がい者とをつなぐ働きをしています。その連携機関は以下に挙げる通り、非常に幅広いものになっています。
・行政機関
・ハローワーク
・地域障がい者職業センター
・就労移行/定着/継続支援事業所
・福祉事務所
・保健所
・特別支援学校
・医療機関
・個人事業主/法人
こうした機関との関わりからもわかる通り、なかぽつとは実際に支援を実施する機関ではなく、障がい者が最初に悩みを相談する窓口となり、その相談内容に合わせて具体的な支援方法を提供する場なのです。
なかぽつ(障がい者就業・生活支援センター)の業務内容
なかぽつの業務内容は大きく2つに分けられます。これからご紹介する業務に関して、関係機関に対する斡旋や連絡調整などの役割を果たします。
就業支援業務
なかぽつの重要な役割は、どこに相談すればよいかわからない障がい者とその家族にとって、最初に相談できる窓口になることです。さらに、障がい者が就職できるようにサポートすることも、なかぽつの重要な業務です。実際の支援は就労移行/定着/継続支援事業所などが行いますが、なかぽつも障がい者のバックアップを行い、職業準備訓練や職場実習などの斡旋もします。
障がい者が就職してからも、今度は職場への定着を促すために職場訪問をしたり、直接悩みの相談を受けたりします。その一方で、障がい者を雇用する事業主側からの相談窓口にもなります。
生活支援業務
なかぽつは就業関係だけではなく、障がい者の生活面の悩みにも対応します。まずは生活に不安を抱いている障がい者に対して、日常生活の自己管理ができるような支援を行います。また、障害年金の申請や福祉サービス利用の手続きなどにも対応。具体的な経済的支援の方法についてもアドバイスを行います。
なかぽつ(障がい者就業・生活支援センター)の対象者
なかぽつを利用できる対象者は、身体障害・知的障害・精神障害があるか、または難病などにより就職が困難であったり、生活に困っていたりする人です。原則としてなかぽつのある近隣に居住していることが条件で、ハローワークの求職登録が必要です。また主治医による診断書などが必要になる場合もあります。
対象になる年齢は15歳以上65歳未満ですが、この条件に外れていても相談することは可能です。また、障害者手帳を取得していない場合でも、まずは相談してみることをおすすめします。
なかぽつ(障がい者就業・生活支援センター)の利用方法と流れ
就業や生活のことで悩んでいるときは、まずはなかぽつに相談してみましょう。ここで就業支援に関して、相談してからの利用の流れをまとめておきます。
1.近隣の障がい者就業・生活支援センターに連絡して面談を予約する。
2.担当者と面談して、利用する場合は登録を行う。
3.具体的な支援プログラムを作成する。なかぽつでは、関係する機関との調整を行う。
4.職業準備訓練や職場実習などがスタート。
5.就職活動を行い、なかぽつの担当者が同行して面接を受ける。
6.なかぽつでは就職先の事業者との調整を行い、就職が決定する。
7.なかぽつの担当者が直接職場を訪問し、職場定着支援を行う。
生活支援については、まずはなかぽつに相談してから、具体的な支援策を決めることになります。いずれの場合でも、相談してから実際の支援が行われる間、なかぽつに対する利用料は発生しません。
まずは身近な「なかぽつ」に相談
障がい者の皆さんにとっては、仕事に就きたいときや生活の悩みを抱えているときなどに、さまざまな支援機関があるなかで、最初にどこに相談すればよいのか判断が難しいかもしれません。そのような場合には、迷わずなかぽつ(障がい者就業・生活支援センター)に相談することです。
なかぽつは実際に支援を実施する機関への仲介役であり、具体的な支援を計画して実行するサポーターでもあります。悩んだらまずは身近な「なかぽつ」に相談することが、問題解決への最短の近道になるでしょう。