【発達障がい支援】自閉症スペクトラム(ASD)とは?症状や原因、支援方法などについて | ソーシャルスキルトレーニングVR

2021.04.16

自閉症スペクトラムは、2013年まで4つに分類されていた発達障害を1つにまとめた、自閉症の疾患の総称です。症状も様々ですが、最も顕著なものは社会的なコミュニケーションの欠如と、限定された反復的行動です。

この記事では自閉症スペクトラムの原因と症状を中心に、自閉症スペクトラムに対して周囲がどのように対応すべきか、またどのような支援方法があるのかについて解説します。

1.自閉症スペクトラム(ASD)とは

アメリカ精神医学会が出版している「DMS-5」は、「精神疾患の診断・統計マニュアル」のことで、この改訂第5版により発達障害の4つの疾患が、「自閉症スペクトラム(ASD:Autism Spectrum Disorder)」としてまとめられました。

この4つの疾患には、自閉性障害やアスペルガー障害などが含まれ、それぞれ症状の線引きが難しいという特徴があります。また、知的障害・言語障害の有無を問わずに自閉的な症状が現れることから、自閉症に「連続体」を表す「スペクトラム」を加えて、新たに自閉症スペクトラムとして統合されたと考えられます。

症状については後述しますが、特に人間関係を含むコミュニケーション能力の欠如が見られることと、反復的行動を繰り返したり、独自の強いこだわりを持つ点などが挙げられます。

2.自閉症スペクトラム(ASD)はなぜ発症する?

他の発達障害と同様に、自閉症スペクトラムの発症原因もまだ解明されてはいません。しかし、近年の進化した遺伝子工学などにより、徐々にその仕組みが明らかになりつつあります。

2.1原因

自閉症スペクトラムの発症には、遺伝的要素が強く関わっている可能性が指摘されています。完全に相関関係が証明されているわけではないものの、自閉症スペクトラムの遺伝率は50~90%ともいわれており、他の精神障害に比べると非常に高い確率になっているからです。

遺伝子の異常は前頭前野に多いという報告があり、神経伝達物質のやりとりに関わるシナプスの過剰形成も指摘されています。これらの特徴には、発達障害の一つであるADHDとの共通点も見られます。

とはいえ、自閉症スペクトラムの発症は、遺伝的要素だけで決まるわけではなく、出生時の両親の年齢や母親の基礎疾患なども要因の一つと考えられています。

2.2症状例

自閉症スペクトラムには様々な症状がありますが、そのうちで最も特徴的なものについてご紹介します。

まず一つ目はコミュニケーション能力に関わることで、乳児期から両親や幼稚園の先生などに対して愛情を表現することが少なく、友だちとの関係も上手に築けないことが挙げられます。

二つ目は特定のおもちゃにだけ強い愛着を持ち、繰り返し同じ遊び方を反復するような傾向があります。これは物ごとに対するこだわりにもつながり、その結果、わずかな変化にも非常に激しい抵抗感を見せる場合があります。

また、ちょっとした原因で攻撃的になったり、周囲の環境にまったく関心を示さないなどの行動も見られ、稀に極めて高い計算能力を発揮するように特徴的な能力を持つこともあります。

3.自閉症スペクトラム(ASD)の支援方法

まず自閉症スペクトラムは、症状の種類や程度から発症を判断することが難しいため、疑わしい場合にはすぐに医療機関で診断を受けたほうがよいでしょう。その結果によっては、改善のための対応が必要になるかもしれません。

自閉症スペクトラムは症状が複雑なうえ、ストレスなどによる二次的な症状が現れることもあるため、特定の支援方法にこだわらず、生活全般で適切な支援を行うことがポイントです。

具体的には福祉支援サービスを利用することや保護者がペアレントトレーニングを受講して、自宅で支援を行うことなどが考えられます。症状の程度にもよりますが、自宅で対応する場合でもある程度の知識を備えて、行動療法や認知行動療法などを実践する必要があります。

現在はクスリによる治療法も進歩しているので、支援と同時に試してみてもよいかもしれません。治療の有無はいずれにしても、普段から何でも相談できるかかりつけの医療機関を見つけておいてもよいでしょう。

4.自閉症スペクトラム(ASD)に関する書籍

最後に、自閉症スペクトラムの支援に役立つ書籍を2冊ご紹介します。保護者や支援者が知識を高める手段として、ぜひ活用してみてください。

4.1「自閉症スペクトラムがよくわかる本」講談社

自閉症スペクトラムの特徴から支援を受ける方法まで、一貫した流れをわかりやすく説明してくれる本です。基礎的なポイントから対応法まで、幅広い知識を得ることができます。

実際に購入した人のレビューでも、情報がまとまっていて読みやすいことや、イラストによる図解もあり、わかりやすかったという評価を得ています。

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臨床心理士として実際に自閉症スペクトラムと向き合う著者が、特にこだわり行動に関する疑問に答えてくれる本です。また、こだわりをポジティブにとらえて改善する方法にも触れています。

購入者のレビューでは、内容が詳しいうえにわかりやすいという評価が多く、改めて子どもの症状に気がついたという意見もありました。

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自閉症スペクトラムは発症の見極めが難しく、症状も様々であることから、長期間の専門的な支援が必要といわれています。しかし、周囲が適切な対処法を身につけ見守ってあげることで、時間はかかっても改善される可能性は十分にあります。

そのためには周りの人が本人を理解し、自閉症スペクトラムに関する知識を持ち、根気強く支援を続けることが大切です。そして何ごとも前向きに受け入れて、本人と一緒に改善を目指すことがベストな対処法なのではないでしょうか。

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