2020.11.10
社会的ニーズに応える、かつ新たなビジネスチャンスとして注目されているのが放課後等デイサービスの施設運営です。 需要拡大し続けていることから、短期間で経営を軌道に乗せるチャンスに恵まれるともいわれていますが、施設運営においては収支計算が当然重要です。 初期費用をできるだけ抑えるのはもちろん、ランニングコストをいかに抑えるかも重要なポイントとなってくるでしょう。 では実際に放課後等デイサービスにはどれぐらいの開業資金が必要なのでしょうか?押さえておくべき費用を確認しましょう。 まず初期費用についてです。以下が多くの場合において必要となる初期費用の内訳となります。 株式会社として設立する場合には、25万~30万円程度は用意しておいたほうが良いでしょう。一般企業であれば、100万円程度の資本金を準備していることも多くあります。 また、放課後等デイサービスを運営している法人は、一般社団法人や公益財団法人など、設立形態も様々です。それぞれの特徴を確認し、どの形態で設立し、どのくらいの資金が必要なのかを確認しておきましょう。 多くの場合、賃貸で施設を確保することになりますが、敷金や保証金、前払いの家賃などが必要です。施設の立地や敷地面積などによって異なってくるので、一概には言えない面もありますが、50万~60万円は確保しておいたほうが良いでしょう。 また、リフォーム代や管理費なども発生するかを確認しておきましょう。特に、リフォームの場合は、状況次第で100万円を超える可能性もあるので要確認です。 放課後等デイサービスは、施設の性質上、開放的な空間が求められるため、仕切りを撤去した上で全面改装する必要も出てきます。その場合には200万~600万円程度必要です。以前何に使っていた建物で開業するかにでも大きな差が出てくるでしょう。 事務用品は細かい出費ではありますが、多くが消耗品であるため初期費用としてはもちろん、維持費としても計上する必要が出てきます。例えば、下記のような事務用品が必要になります。 例えば、駅のコインロッカーのような形なら10~12人用で5万~6万円程度、更衣室のロッカーの場合は2~3人用で2~3万円程度になります。 子ども用と職員用をそれぞれ用意する必要があります。職員用は3万~5万円程度のしっかりしたものが2~3台程度は欲しいですし、子ども用も1~2万円程度のシンプルながらしっかりしたものを用意しておきましょう。20万円くらいは必要でしょうか。 台数によって異なります。それほど高性能なパソコンは必要ないでしょうから、1台5~6万円程度の数台を確保するとして、3名~4名分必要であれば、15~20万円程となります。 パソコンがあれば複合機は必要ないようにも思えますが、法人として運営する以上、書類印刷やFAXなど、利用する場面も多くあるでしょう。それほど高額なものではなく、6万~7万円程度で購入できるものが理想的です。 介護ソフトにも様々あり、現在ではクラウド型のものが主流です。初期費用はほとんどかからず、月額料金が発生するため、ランニングコストとして捉える必要があるでしょう。パッケージ型のものは数万円程度が相場です。 子どもが楽しめるおもちゃも必須ですが、完全な消耗品ですから、初期費用・維持費両方の面で捉える必要がありそうです。おもちゃといってもピンからキリまであり、それほど高額のおもちゃを揃える必要はありませんが、利用する子どもたちの数に応じて揃える必要があるので、10万円程度は初期費用として計上しておく必要があるでしょう。 どのような機能訓練を重視するかによっても異なりますし、どれだけの台数を導入するかによっても用意すべき予算に大きな差が出てきます。どこまで節約できるのかがひとつの鍵になりそうです。 子どもの体調に異変が見られた時に健康状態を確認できるよう、簡単な医療機器も用意しておきましょう。体温計、血圧計などです。それぞれ2,000~3,000円程度で買えるものが多いですが、顔に近づけるだけで短期間で計測できる体温計など、簡単に利用できる高性能なものがあります。落ち着きのない子どもの振る舞いも想定した上で、ある程度の性能を備えた医療機器の導入も検討しましょう。 職員の人数次第では、やや大きめの10万円程度のものが良いでしょう。 1万円以内ものでも大丈夫でしょう。 ある程度のサイズは必要ですが、ホームシアターのような充実した環境は必要ないでしょう。30インチ以上の液晶テレビなら、5万円もあれば良いものが買えるはずです。 音楽を聴くためのオーディオや映像作品を楽しむためのDVDなども欲しいところです。SSTの教材には、CDやDVD教材などもあるため、再生機器があると良いでしょう。また、電話回線とインターネット回線も新規に開設する必要がある場合には、その費用も3万円程度くらいは用意しておきましょう。 SST(ソーシャルスキルトレーニング)に必要な教材に関しては、単独の製品を購入するか、学習指導のサービスを利用するかによっても異なります。前者の場合はひとつの教材が2,000~6,000円程度、DVD付きのボリュームがあるものだと1万~2万円程度するものもあります。
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2.5光熱費
光熱費は初期費用というよりもランニングコストですが、電気代、水道代で合計月2万~3万円は必要です。 送迎車にかかる費用は走行距離や送迎する人数によって異なりますが、ガソリン代が5万~8万円程度、駐車場料金が2万~3万円程度でしょうか。 施設内で万一のことが起こった時に、賠償責任が発生する場合もあります。こうしたトラブルに備えるためにも、保険の加入は必須です。職員の数や施設の規模によっても異なりますが、20万~30万円程度が相場です。 スタッフの人数によって異なりますが、10名なら500万~600万円は最低でも必要でしょう。 他にも、施設の方針・環境によって用意すべきものも出てきます。 毎月発生する維持費・ランニングコストへの意識も忘れないようにしましょう。 職員、アルバイトスタッフなどへの報酬です。正社員であれば一人あたり20万円~30万円程度となります。 施設の立地・敷地面積、環境・設備にもよりますが、40万~50万円は必要でしょう。 保険料・ガソリン代も初期費用と同程度の金額が必要です。 備品の買い替えとして、1万~2万円程度を計上しましょう。 以上、多方面でかなりの出費になることが分かります。 準備が難しい場合には補助金や融資制度を活用してみましょう。福祉関連ということもあり、多種多様な補助金制度が設けられているため、どのような補助金・融資制度があるのかもチェックした上で、資金繰りを行っていきましょう。
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