療育手帳〜自治体ごとに異なる取得基準、取得の手続き、取得によるメリット〜 | ソーシャルスキルトレーニングVR

2019.06.24

「障害者手帳」には、「身体障害者手帳」、「精神障害者保健福祉手帳」、「療育手帳」の三つがあります。その中で、「療育手帳」とは、主に知的障害のある人を対象にした「障害者手帳」の一つです。発達障害のある人で、知的障害をともなっている場合は療育手帳を取得することができます。また、自治体によっては、知的障害がなかったとしても、療育や支援が必要な人に療育手帳を交付している場合もあります。 取得するかどうかの選択は自由ですが、療育手帳を持っていることで、支援やサービスの幅が広がり、様々なメリットも生じます。また、療育手帳の対象とならない場合は、精神障害者保健福祉手帳が取得できる場合もあるので、自治体の福祉担当窓口に相談してみましょう。   「身体障害者手帳」は身体障害者福祉法に基づいて、「精神障害者保健福祉手帳」は精神保健福祉法に基づいて、障害者への支援を目的として定められた制度です。 一方で、「療育手帳」は、法律に基づいて作られた制度ではありません。「療育手帳制度について(昭和48年9月27日厚生省発児第156号厚生事務次官通知)」というガイドラインに基づいて、ご本人やご家庭における社会生活上のご負担を軽減するために、各地方自治体によって設けられている制度です。   このため、全国的に統一された制度はなく、自治体ごとに取得基準やサービス内容が異なっています。地域によって「愛の手帳」「愛護手帳」「みどりの手帳」などと呼び方が違うのもこうした事情があるためです。 具体的な内容は、各自治体の障害福祉担当窓口に確認する必要があります。また、障害の区分によっても、受けられるサービスが異なることがあります。   療育手帳をもらうには、「知的障害がある」ことが認められなければなりません。知的障害があるかどうかという判断の基準は、・知能指数(IQ)おおむね75または70以下(各自治体により数値は異なる) ・日常生活における支障の程度 などを目安として、総合的に判断されます。   療育手帳を取得したい場合には、18歳未満の場合は児童相談所、18歳以上は知的障害者更生相談所(心身障害者福祉センターなど)に申請を行います。そこで心理判定員や医師による判定を受け、上記のような目安から「知的障害がある」と認められた場合には、手帳の交付を受けることができます。 繰り返しになりますが、上記の取得基準はあくまで目安です。正確な基準は各自治体で異なるため、各自治体に問い合わせてご確認下さい。   療育手帳を持っていることで、税制上の優遇措置を受けることができる場合があります。所得税や住民税、相続税、自動車税および軽自動車税において、障害者控除を受けることが可能です。 例えば所得税の場合、障害者控除として27万円、特別障害者の場合は40万円、同居特別障害者の場合は75万円を所得金額から控除することができます。これらの優遇を受ける際には、年末調整や確定申告で控除の適用を申請する必要があります。各優遇制度の詳細に関して、よくわからないという場合は、直接税務署に問い合わせをしてみましょう。 【参考】https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1160.htm   公共交通機関を利用する際に、利用料金の割引や減免を受けることができます。 例えばJRでは、駅の窓口にて手帳を呈示することで、条件を満たしている場合には、普通乗車券や定期乗車券の割引(5割引)を受けることができます。 【参考】https://www.jr-odekake.net/railroad/service/barrierfree/discount/index.html JRをはじめとした鉄道各社の鉄道運賃、JALやANAなどの航空運賃、タクシーやバスの運賃などで割引を受けることができますので、詳細は利用する各社に問い合わせて確認しましょう。   映画館や美術館、プール、またディズニーランドやユニバーサルスタジオジャパンなどのテーマパークなどの施設でも、療育手帳を呈示すれば無料化や割引を受けることができる場合があります。各施設の利用を円滑にするための配慮やサービスを提供してくれるところもあります。 こちらも利用する各施設に問い合わせて、割引やサービスが受けられるかを事前に確認しておくといいでしょう。   NHK受信料、NTT利用料、各社携帯電話料金などの割引を受けることができます。また、高速道路の利用料金が割引になる場合もあります。 例えばNHKでは、療育手帳の呈示で受信料の半額免除が受けられます。 【参考】https://pid.nhk.or.jp/jushinryo/about_5.html   障害者手帳を持っていると、障害者雇用枠や特例子会社での就職が可能になります。近年は障害者雇用枠を設ける会社も増えてきているため、就職の選択肢を広げることに繋がります。 また、特定求職者雇用開発助成金、障害者トライアル奨励金、障害者雇用奨励金などの支給対象障害者となることができるため、企業側としても入社を前向きに考えてくれやすくなります。   療育手帳を持っていることで、保育園への入園が優先される場合があります。また、特別支援学校への入学の際に、療育手帳の提出が求められる場合もあります。   障害を抱えたお子さんが児童発達支援事業を利用する場合には、多くの場合「受給者証(障害福祉サービス受給者証)」が必要です。 療育手帳を持っていても、受給者証の呈示をしなければサービスを受けられない場合があることに注意してください。逆に、療育手帳を取得していないお子さんでも、受給者証があれば放課後等デイサービスなどを利用することができる場合もあります。

受給者証は地域の障害福祉担当窓口にて申請します。療育手帳の取得基準とは異なるため、療育手帳を保有していなくても受給者証を取得できる場合は十分にありえます。その場合、診断や特別支援級・通級の利用実績などが勘案されます。まずは各自治体にご相談ください。

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