2019.12.23
<株式会社マルク>
愛媛県松山市で就労継続支援事業(A型)や放課後等デイサービス事業「マルクスコラ」などを計8施設運営。2019年3月、東証TOKYO PRO Marketに障がい福祉サービス分野の就労継続支援という事業では日本初の上場を果たしました。また、愛媛県第一号となる就労継続支援施設(A型)を10年間以上に渡り、運営し培ったノウハウをもとに、楽しみながら働く基礎を身につけ未来に備える、就労・自立の準備に特化したサービスを提供しています。今回は取締役部長の谷口学様、就労支援事業部部長の川端隆之様、放課後等デイサービス事業部SVの富永一史様にお話をお伺いしました。
<課題>
スタッフの質のバラツキと実践的なトレーニングの提供
<解決>
VRで臨場感のある場面を誰でも簡単に利用可能
一定の質を担保し、実戦に近い形式でトレーニングができる
――――emouを導入しようと思ったきっかけは何だったのでしょうか。
谷口様 放課後等デイサービス「マルクスコラ」では、働くスキル、生活スキル、社会性スキル、コミュニケーションスキルという4つのプログラムがあり、それぞれ課題に応じた教材を用いながら授業形式で学んでいく形をとっているのですが、プログラムを実践するなかで、教える側のスタッフによって質にバラツキがあることを以前から感じていました。 やはり、ベテランと新人とでは経験値も違いますから、差がでてくる部分もあります
emouであれば場面の共有はVRで簡単ですし、進行マニュアルに沿ってプログラムを進めれば一定の質を確保できることが導入のきっかけですね。そこからトントン拍子に話が進んで。あとは「四国初」というのもありますし(笑)。これは早いほうがいいんじゃないかと。やはり1番と2番じゃインパクトが違いますからね。
当社における複数の事業においてさまざまな使い方ができるというところが決め手に。
――――emouを導入する決め手になったのはどんなところでしょうか?
川端様 放課後等デイサービス向けだけでなく、就職支援においても利用できるところが大きかったですね。例えば面接の場面を学習する場合でも、顔見知りのスタッフが相手役だと、どうしても臨場感や緊張感に欠けるところが出てきてしまいます。
VRであれば「なあなあ」な訓練になったりせずに、臨場感を持って学習できる点、私たちも第三者的な視点からフィードバックができるという点などがあるので、単体の事業に関してだけでなく、当社における複数の事業においてさまざまな使い方ができるというところが一つの決め手になりましたね。
――――導入後の反応はどうでしょうか?
富永様 参加者たちは、VRを使ったプログラムの日をとても楽しみにしていますよ。実際にVRで訓練を受けていない周囲の方々も、「どんな感じなんだろう?」といった具合に注目していたりして、やっぱり興味関心が非常に高いですね。
また、特定の場面での相手の思考や感情って、やっぱり子供たちにはイメージしづらい部分がどうしてもあります。こちらも場面を細かく説明しなければいけないし。それがVRの装置を付けるだけで、そうした場面を何度でも繰り返し学習できるっていうのは画期的だと感じましたね。それにプラスして、VRならではのゲーム性というか、楽しみながら学習できるっていう点もありますので。
それと、より実践に近い形式でトレーニングでき受け身ではなく、施設利用者自身が参加でき、達成感を得られたりするところが、今まではなかったので、非常に良いと感じました。 体験した方々の反響はやっぱり、とても良いです。
ふだん発話が苦手な子も怖がらずにVRならチャレンジしてくれる
――――これまでのプログラムとの違いはどんなところでしょうか?
富永様 やはり再現性があるということですね。これはほんとに(笑)。何度やっても同じように場面を体験できるというのはとても大きなことですよ。人間では絶対にできない。
またそういった場面のリアリティが、小学校の低学年の子供たちにもわかりやすいというか、(従来のプログラムに比べて)場面への入りやすさはすごくあると思います。自己紹介の練習をVRでしたのですが、ふだん発話が苦手な子も怖がらずにチャレンジしてくれました。
反応が返ってくるので、私たちとしてもフィードバックしやすいですし、スタッフ側のプログラムのやりやすさっていうのは、とても大きいと思います。
emouの導入が新規の利用者の興味関心につながっている
――――事業の経営的な観点からのemou導入の意義はどうでしょうか?
谷口様 今後も拠点数の拡大は継続していく計画です。そのなかで「先端技術と福祉を組み合わせた事業者はまだ少ない」ため、他社との差異化による生徒数の確保にも期待しています。その中で、新規の方や見学に来られた方が、VRを使っていることに感心を持ってくれる方が多くいらっしゃいます。emouの導入が新規の利用者の興味関心につながっているというのは、確実にあると思います。
川端様 実際にemouを体験した子供たちの口コミだったり、反響だったり、成長だったりが、保護者の方々を経由しながら、これから広がっていくと感じています。保護者の方もゲーム感覚でお子様が取り組めるので、「VRのプログラムならできるかも」ということで、予約をされる場合も実際にありましたからね。
――――最後にemouに今後、期待することを教えてください
谷口様 現状では、emouはコミュニケーションを学ぶためのプログラムの一部という位置づけですが、今後コンテンツの幅がもっと充実してくれば、より運用する機会は増えてくるのではないかと思います。当社では<未来に備える就労、自立の準備>を掲げているのですが、現状では、実際に職業体験できる現場はどうしても限られてきます。体験の受け入れが難しいところもありますので、そうなると、仕事のイメージが湧きづらい。これを色々なジャンルの職場体験がVRで再現できれば、利用者にとって非常に有益な体験になるんじゃないかと思いますね。
――――ありがとうございました。