2020.08.11
放課後等デイサービスの報酬は、様々な条件で加算や減算が行われます。本記事では、施設を運営における「延長支援加算」について解説いたします。 ※以下内容は弊社調べ(2020年8月11日現在)によるものです。詳しくは記事下掲載のサイトにアクセスし、ご確認ください。 放課後等デイサービスでは「運営規定において定められている営業時間の前後で、放課後等デイサービス計画に基づき、就学児に対してサービスを提供したこと」を要件として報酬を加算することができます。これを「延長支援加算」といいます。 デイサービス(通所介護)や通所リハビリに適用される介護報酬の「延長加算」に似た仕組みとなっており、営業時間(8時間)以外におけるサービス提供に対して算出されます。なお、直接支援業務を行う職員(児童指導員や保育士といった資格の保有者)を1名以上配置しなければならないことにも注意が必要です。 例えば、9時~17時までの8時間営業している事業所の場合、営業時間外に実施されるサービスが加算対象になります。 放課後等デイサービスにおける延長支援加算の単位数は、サービスを実施した時間や重度心身障害児に該当するかなど、条件が設けられております。 報酬額は施設運営者の時給(人件費)を下回ることがほとんどです。利益を出すための加算ではなく、利用者ニーズを汲み取り、施設への受け入れを行う際の補填が主な目的となります。 下記が受け入れをいた場合の計算例となります。 例えば、1回あたり1時間30分、1ヶ月に8回、2人の受け入れをした場合、報酬金額を計算すると以下のようになります。 仮に、時給を1,000円とした場合、1ヶ月あたりの人件費を計算すると以下のようになります。
1.5時間×1,000円×8回=12,000円
このケースでは、14,720-12,000=2,720円が施設の利益となります。
事業所が延長支援加算を算定するには、以下の要件を満たす必要があります。 ・運営規程に定められている営業時間が8時間以上 ・営業時間の前後の時間に、サービスを提供 ・児童指導員や保育士といった直接支援業務を行う職員を1名以上配置 ・やむを得ない理由がある(その理由を「障害児支援利用計画」に記載) 「やむを得ない理由」の例としては、「子育て支援に係る一般施策を利用しても、障害児の受け入れができなかったケース」や「保育所等を利用していても、放課後等デイサービスを実施している施設への通所が必要だと認められたケース」が挙げられます。 放課後等デイサービスでの延長支援加算単位数は、対象者と利用時間で加算金額が変動し、1日毎に算定されます。
対象者 | 利用時間 | 単位 |
障害児の場合(※重症心身障害児を除く) | ~1時間 | 61 |
1時間~2時間 | 92 | |
2時間~ | 123 | |
受信障害児の場合 | ~1時間 | 128 |
1時間~2時間 | 192 | |
2時間~ | 256 |
※1単位10円 放課後等デイサービスの延長支援加算を行う際は、以下の点に留意しましょう。 ・事前に「加算届」を提出しておかなければならない ・記録は、「時間帯、担当者名、児童名、受け入れ時の様子」が記載されていれば、任意の様式で良い ・児童指導員や保育士といった資格保有者を1名以上配置する 放課後等デイサービスの報酬を算定する際には、「延長支援加算」以外にも、様々な「加算要件」や「減算要件」に留意しなければなりません。 加算要件については、以下に示すような種類が存在します。
・事業所内相談支援加算
・家庭連携加算
・児童指導員等配置加算
・児童指導員等加配加算
・共生型サービス体制強化加算
・利用者負担上限額管理加算
・医療連携体制加算
・保育・教育等移行支援加算
・延長支援加算
・強度行動障害児支援加算
・欠席時対応加算
・特別支援加算
・看護職員加配加算
・福祉・介護職員処遇改善加算
・福祉・介護職員処遇改善特別加算
・福祉専門職員配置等加算
・訪問支援特別加算
・送迎加算
・関係機関連携加算
減算要件については、以下に示すような種類が存在します。
・自己評価結果等未公表減算
・児童発達支援管理責任者欠如減算
・定員超過利用減算
・サービス提供職員欠如減算
・身体拘束廃止未実施減算
・通所支援計画未作成減算
・開所時間減算 施設を運営する際には、これらの要件に注意しながら報酬金額を算定しなければなりません。厚生労働省の公式サイトで省令や告示を確認し、不明点があれば問い合わせるようにしましょう。 ※参照元サイト
児童福祉法に基づく指定通所支援及び基準該当通所支援に要する費用の額の算定に関する基準
厚生労働大臣が定める一単位単価の一部改正について(平成28年3月24日 厚生労働省告示第八十四号)
厚生労働大臣が定める一単位単価について(平成24年3月14日 厚生労働省告示第百二十八号)