2021.07.06
本来なら就職して働く年齢でありながら、さまざまな事情によって職に就けない人の数が増加しており、深刻な社会問題の1つになっています。こうした問題の解決に向けては、国も積極的な支援策を施行しています。
その1つが「サポステ」の愛称で呼ばれる「地域若者サポートステーション」です。この記事では仕事に就きたい人と、それを支援する皆さんのため、サポステの支援内容と利用方法について解説します。
地域若者サポートステーション(サポステ)とは
地域若者サポートステーション(以下サポステ)とは、厚生労働省の主導により、働くことに悩みを抱えていたり、働きたいが働けなかったりする15~49歳の人々に対して、適切な支援を行う制度です。現在、厚生労働省が委託した一般企業やNPO法人などが主体になり、全国でおよそ180件の事業所がサポステとして支援を行っています。
地域若者サポートステーション(サポステ)の支援内容
サポステでは仕事に就けない原因の究明とアドバイス、就業のために必要なスキルの習得、そして就職活動の支援などを軸に若者の就職活動全般をサポートしています。その中から主な活動内容について、厚生労働省の「サポステネット」から具体的にご紹介します。
コミュニケーション講座
人と関わることが苦手な人に対して、仕事上で必要なコミュニケーションのとり方を学びます。フリートークやレクリエーションなどもとり入れて、会話に対する苦手意識の克服や、上手な自己表現方法の習得などを目指します。
ジョブトレ(就業体験)
事業所と連携する協力機関で、職場見学や職場体験などの方法で多様な働き方を学びます。プログラムには調理補助、事務補助、営業補助、プログラミングなどがあります。
ビジネスマナー講座
社会人として必要な、身だしなみや挨拶のしかた、言葉遣いや電話応対などの基本的なビジネスマナーから、情報セキュリティなどの高度な知識までを講座形式で学びます。
就活セミナー
主に就職活動をバックアップすることが目的で、面接の受け方や履歴書の書き方など、実際の就職活動で役に立つノウハウを学びます。このセミナーで自信をつけて、積極的な就職活動につなげることが狙いです。
集中訓練プログラム
どの支援プログラムから始めるべきか判断できないときのため、さまざまな活動を組み合わせて長期的に実施するプログラムです。就業体験や就活のバックアップなどを集団生活の中で学ぶことにより、総合的な就職支援活動を受けることができます。
パソコン講座など
現在職場で必須となっているパソコンのスキルを、日本マイクロソフトの協力のもとで学ぶことができます。他にもリクルートの協力による、就労支援プログラムなども受講することができます。
こうした活動以外にも、事業所によっては独自のイベントを開催したり、ベーカリーや出版物制作グループを運営したりするなど、さまざまな取り組みを実践しているケースもあります。どの活動を見ても、サポステが就職するための力強い味方になることは間違いないでしょう。
地域若者サポートステーション(サポステ)の支援対象者
原則として地域若者サポートステーションを利用できるのは、働く意思はあるものの、事情があって職に就いていない15~49歳までの若者とその保護者です。具体的には以下のような皆さんが利用しています。
・働きたいという気持ちはあるが、何から始めればよいのかがわからない人
・長期間引きこもりの状態にあったりして、仕事を始めるきっかけが見つからない人
・就職しても長続きせず、転職を繰り返している人
・人間関係のつくり方やコミュニケーションのとり方で悩んでいる人
・自分に向いている仕事が見つけられずに就職が困難になっている人
こうした理由以外で悩む皆さんも、就職するための支援が必要な場合には、気軽に最寄りの地域若者サポートステーションに相談することをおすすめします。
地域若者サポートステーション(サポステ)の利用方法
実際に利用を検討する場合、まずは最寄りの地域若者サポートステーションを探して相談してみましょう。以下のホームページから、全国にあるサポートステーションを検索することができます。
利用にあたっては、まず初回面談と利用登録を行います。次に担当の相談員との個別面談を実施して、その人に合った就労プログラムを決定します。サポステを利用できる期間は原則6ヵ月ですが、状況によっては延長することもでき、就職後に引き続き利用することも可能です。利用料も原則的には無料です。
悩む前にサポステへ
働く意思があっても働けない人には、なかなか他人には相談できない悩みがあります。その悩みを抱えたまま職に就かないでいると、いずれは仕事を始めるきっかけがつかめなくなってしまうでしょう。
地域若者サポートステーションは、そんな人たちを力強くバックアップする機関であり制度です。現状では働くことが困難でも、働きたいという気持ちがある人は、悩む前にサポステに相談してみましょう。