2020.11.10
放課後等デイサービス(発達障害支援)の開業時にはさまざまな融資制度を利用できる可能性があります。将来性がある業種として注目されている一方、障がいを持つ子ども(または持っている心配がある子ども)を預かり、指導訓練を実施するにふさわしい環境を整える必要があるため、多額の初期投資がかかる面もあります。 いかに初期費用を抑えつつ資金確保ができるか、融資を受ける場合には返済計画を踏まえた上で、どれぐらいの期間で経営を軌道に乗せていくことができるかを考えなければなりません。 一方、福祉関連の施設は社会的必要性の高さから、金融機関はもちろん、国や自治体、日本政策金融公庫などから融資を受ける機会にも恵まれやすく、どこからの融資をどれだけ利用するか、じっくりと検討した上で融資制度を選ぶと良いでしょう。 放課後等デイサービスを開業する際には、施設の敷金や手数料、さらに必要に応じて設備の導入やリフォーム、備品調達、スタッフの給料(人件費)、事務用品、パソコンなど、さまざまな出費がかかります。初期費用は、土地の広さや立地によって違うものの、平均で800万円程度は必要といわれています。 開業資金が足りない場合には、借入をしなければなりませんが、経営を軌道に乗せるまでの運転資金も考えると、初期費用に加えて、数カ月分の運転資金として600~700万円程度は確保しておく必要があるとの意見もあります。 開業資金の確保が難しい場合には、様々な資金調達の手段を検討することになります。 すべて自己資金で用意できれば申し分ないわけですが、なかなか難しいケースもあり、自己資金の比率をどれだけ多く確保できるかがポイントになります。当然、自己資金比率が高い方が融資を受けた分の利息の負担が少なくなり、早い段階で返済して経営を健全化させることができます。 先述したように、初期投資には800万円程度は必要ですから、半額程度を自己資金でカバーできると理想的です。 もっとも基本的な選択肢となるのが銀行・信用金庫でしょう。審査が厳しい面もありますから、放課後等デイサービスがどれだけ将来性が見込める分野か、その中で自分たちの施設がどれだけ有望かをアピールすることが大事です。自己資金を多く確保できるほど融資を受けやすく、また返済が楽になるのもポイントです。 福祉事業の場合、他の企業から借り入れる選択肢も出てくるでしょう。融資する側としては、福祉事業をサポートしていることのプラスイメージを打ち出すメリットがあります。 とはいえ、金融機関の融資ではないので、緻密な企業間交渉を行う必要もあります。実際に融資するとどれだけメリットが得られるのかをアピールしつつ、できるだけ返済条件が厳しくない形で借り入れできるよう、持ち込む必要があります。 金融機関や企業の他に、個人で資産を抱えている個人投資家からの融資も考えられます。個人投資家は、市場の動向を読みながら、興味のある企業やサービスなどへ投資をしております。新規開業する放課後等デイサービスに投資対効果があると分かれば、融資を検討してくれるはずです。 各自治体では中小企業を対象にした制度融資を用意しています。ポイントは、保証料さえ払えば信用保証協会が保証する形で融資を受けられる点です。 「それほど多額の融資を必要としない、でも保証人を確保するのが難しい」という場合に適しているでしょう。 こちらは無担保で融資を受けられるのが魅力の選択肢です。民間の金融機関では融資を受けにくい業種を対象に、融資を多く手掛けています。放課後等デイサービスを対象とした新創業融資制度もあり、3000万円まで融資を受けることができます。開業資金・運転資金両方を調達したい場合におすすめです。 経済産業省による創業者に向けた補助金です。多種類の補助金が用意されており、放課後等デイサービスの場合には、福祉事業者を対象にしたものや地域産業の活性化に関わる企業を対象にした制度が該当するでしょう。経済産業省の公式サイトなどでチェックしておきましょう。
経産省 令和2年度「地域・企業共生型ビジネス導入・創業促進事業補助金」の公募について
2.8ファクタリングサービス
放課後等デイサービスの場合、サービス利用時の利用者本人負担は1割、残りは国と自治体が負担する形となっており、後者の支払いは2ヶ月後に行われます。そのため、2ヶ月の空白期間に収入が入らないことで運転資金が不足し、厳しい経営状態に陥ってしまうケースも少なくありません。そんな時に便利なのがファクタリングサービスです。
手数料を支払う必要がありますが、これを利用することで給付費の最大80%を半月後に得ることができます。手数料は金額の1%弱です。できるだけ利用しないで済むよう心がけつつ、いざとなったときの資金調達の手段として頭に入れておきましょう。