2021.02.22
放課後等デイサービスを運営していると「実地指導の通知が届いた」「自治体から実地指導が入った」と聞くことがあります。この実地指導とはどのようなもので、どんなケースで実地指導となるものなのでしょうか。 今回は、実地指導の概要や実地指導が入るケースなどについてわかりやすく解説します。 実地指導とは、厚生労働省が定めた内容にもとづき、放課後等デイサービスをはじめとする福祉に関わる事業所へ各地方自治体の行政官が赴き、正しく運営がされているかどうかを視察・確認することを指します。 実地指導には、虐待や拘束などがないかを調べる「運営指導」と、不正な報酬の請求がされていないかを見る「報酬請求指導」に分けられます。実地指導では通常実施される2~4週間前ほど前に自治体から通知が届き、当日になると行政官が事業所へ来ます。運営状況や書類などを確認するのが一般的ですが、自治体の方へ寄せられた情報提供などから指導の必要が高いとみなされた場合、当日に連絡が来て当日指導される「抜きうち」のような形の随時指導が実施される場合もあります。 以下のようなケースに当てはまる場合に実地指導が行われます。 実地指導は、どの事業所においても原則として3年に1度程度のペースで実地指導が入るようになっています。事業所を開設して3年が経過しているなら、実地指導の通知がいつ来てもおかしくないと考えてよいでしょう。 既に一度実地指導を受けており、その際に指摘された問題点などについて、改善が不十分であるとみなされた場合、運営時期にかかわらず実地指導が入る可能性が高まります。改善が不十分だとみなされる理由として、自治体側が把握している場合があります。 利用者の家族からの問い合わせや近隣からの情報提供などにより、行政側が実地指導の必要ありと判断して実地指導が行われる場合もあります。3年に一度行われる実地指導では、事前に通知されるため当日までに猶予がありますが、改善が不十分であったり、情報提供から違反を疑われていたりする場合には、抜き打ちのように行われる随時指導となるケースが多いようです。 実地指導は、厚生労働省で大まかな流れは定められているものの、最終的な実施は各地方自治体に任されています。そのため、自治体によっては記入方法や判定基準など、細かなルールが異なったり、自治体独自のルールが設定されたりしている場合もあります。管轄の自治体がどのようなルールを持っているのかは、各自治体が主催して行う「集団指導」で詳しく説明されていることが多いため、集団指導があれば積極的に参加しておくとよいでしょう。 実地指導が入った場合に備えての対策としては、以下のような方法が挙げられます。 スタッフの雇用関係書類や人員配置、日報などの報告書や計画書など、運営と請求加算に関する書類は特にチェックされやすいものです。 漏れや抜けなどがないよう、所内でチェックリストやマニュアルなどを作成し、統一したフォームで残しておくようにするほか、記入方法などの情報もこまめに全体共有するとよいでしょう。 関係書類の日付がバラバラになっていたり、異なる書類と一緒になって積み上げられていたりすると、行政官がチェックしにくいだけでなく、何か隠そうとしているのではないかと疑われる理由にもなってしまいかねません。 書類は日付ごと、種類ごとにきちんとファイリングし、見やすいようにまとめておきましょう。 視察に来る行政官は、事業所が何をごまかそうとしているかは調べるとすぐにわかるといわれており、事前の情報提供などから違反を把握して実地指導へ来ている場合もあります。 実地指導で「隠そうとしている、ごまかしている」と判断される場合、指導から監査へ切り替わり、最悪の場合指定の取り消しとなる可能性もあります。 実地指導の段階では不明な点などは正直に伝え、ごまかそうとしないことが大切です。 実地指導の通知が来てから書類の整理を始めると、日々の運営の中で時間を割くことになるため準備が間に合わないこともあります。日ごろから書類に関する担当者を決めてチェック体制を整え、整理整頓もしっかりと行うようにしておきましょう。 実地指導とは、各地方自治体から行政官が運営状況について確認に訪れる視察のことで、運営後三年に一度を目安に実施されることが多いものです。雇用関係書類や報告書、計画書など、ローカルルールを含めた法律に従い管理していれば問題のないものですが、情報提供を受けて抜き打ちのように指導がおこなわれた場合や、違反の可能性が高いと事前にみなされている場合には、実地指導から監査へと切り替わる場合もあります。 集団指導などで把握しているルールに則って正しく運営している限り、必要以上に実地指導を怖がる必要はありません。日ごろから書類の管理や担当者を設けるなどして、必ずやってくる実地指導に備えましょう。