ライフステージごとの支援のポイント〜就労支援〜 | ソーシャルスキルトレーニングVR

2019.07.28

自閉スペクトラム症がもたらす困難は、子供から大人まで問題の現れ方は様々でも、大きな三つの特性によって引き起こされるものです。こちらでは、それぞれのライフステージにおいて、自閉スペクトラム症と向き合うためのポイントをご紹介していきたいと思います。 本人や保護者を取り巻く環境がどのように変わり、それぞれにどのような選択肢があるのか、親御さんや保護者などの周囲の人たちはどのように関わっていけばいいのかを、ライフステージごとに細かく見ていきましょう。   進路選択の最終段階は「仕事選び」です。実際に就職した後になって、仕事で失敗したり、人間関係がうまくいかなかったりすることが続いてしまうと、本人の挫折感も大きくなってしまい、自信を失うことにもつながりかねません。 ですから、ただ就職できればいいということではなく、長く続けられそうか、周囲の理解や支援を得やすい環境なのかを考え、本人が抱える障害の特性に適した仕事に就くことがとても大切です。 単純作業が得意であれば工場などでの勤務が向いているかもしれません。こだわりの強さを活かすなら研究職などもいいでしょう。人と話したり付き合ったりが苦手な場合、接客業は避けた方が無難です。もちろん一概には言うことはできませんが、このように本人の特性と就職先での仕事内容を十分に確かめ、本人にあった就職先を選ぶことが重要です。  
障害を抱える方々の就労支援の相談窓口となるのが、福祉事務所です。福祉事務所は総合的な福祉行政機関で、相談や検査、級数の判定や障害者手帳の発行なども行っています。   企業からの求人情報を集め、求職者に提供する機関です。障害を抱える方々向けの専用窓口もあり、職員の他に知的障害者相談員や精神障害者相談員などの専門スタッフがいます。それぞれの特性に応じた就労支援を行ってくれます。   発達障害を抱えた方々を長期的に支援することを目的とした専門機関で、就労に関する相談も受け付けています。各都道府県に必ず設置されており、相談は基本的に無料で受け付けています。   就労にあたって必要な専門技術を学べる機関です。ハローワークなどの他機関から紹介される場合もあります。   事業主やハローワークなどと連携しながら、障害を抱える方々の就労支援を行っている機関です。就労相談はもちろん受け付けていますし、就労に向けた職業カウンセリングや職業リハビリテーションを実施しているのが特徴です。 「障害者の雇用の促進等に課する法律」にもとづいて障害者職業カウンセラーが配置されており、障害を抱える方々に向けて、職業評価や職業指導、職業準備支援、職業講習、職場快適指導など、さまざまな支援業務(職業リハビリテーション)を行っています。   職業リハビリテーション・カウンセリングでは、面接や各種適性検査、関係機関や保護者からの情報などを鑑みて、当人の抱える問題点や職業的自立の可能性を明確にします。そのうえで、職業との関連における自己理解が深まるように促し、職業リハビリテーション計画の実現のための援助を行います。   職業評価は、面接や調査、心理的・生理的検査、ワークサンプル法、職務施行法などを用いて、障害を抱えた利用者の職業能力や適性を評価し、適切な職業リハビリテーション計画を策定するために行われます。適切な職業リハビリテーション計画は、障害を抱える利用者の職業生活上の自立を効率的に実現することを目的として策定されます。   職業準備支援では、職場において実際に想定される作業場面を再現した「職業準備支援室」を設け、利用者がそこでの作業を通じ、職業生活に対応していけるよう訓練します。利用者が問題なく職業生活を送ることができるよう、訓練を通じて働く意欲、体力、耐性、危険への対応などの基本的な労働習慣を、就労前に身に付けさせることが目的です。   職業講習では、就労にあたって実際に必要になる知識や技能を利用者に身に付けさせ、職業生活における障害による困難を軽減することを目的とします。また、職業的な自立を促すことで、労働への意欲を喚起することを目指しています。 職業講習には、OA講習と職場準備講習があります。OA講習は、パソコンなどのOA機器の操作技能を利用者に体得してもらいます。職場準備講習では、事業所の見学や事業主との懇談会などを通じて、職場に関する知識や理解を深めてもらうことを目的としています。   職場適応訓練は、在職中の利用者に対して、職業生活上の問題を解決し、より職場に適応することができるように助言や指導を行います。現場での障害に対する配慮、教育訓練の状況、作業や労働習慣など、職場に適応していくための問題点を把握し、利用者の職場適応をさらに促進していくための指導を行います。   ジョブコーチ(職場適応援助者)とは、利用者が働く職場に一定期間派遣され、障害の特性に応じた支援や職場の環境調整を行い、利用者の職場適応を支援していく専門家です。利用者は、ジョブコーチの支援を通じて、職場での振る舞いや作業の仕方、会社や社会でのルール、休憩時間の過ごし方、帰宅後の体調管理など、幅広い指導を受けることができます。障害の特性を考慮し、一人ひとりの状況にあわせた対応ができることが大きな強みです。 利用者への支援と並行して、障害を抱えた方々を雇用する企業側にも支援を行います。障害に対する理解を深めてもらったり、障害の特性に配慮した仕事の教え方や接し方を指導したりするなど、利用者と企業の双方がストレスなく働ける環境作りを促します。   地域障害者職業センターでは、障害を抱えている方々を雇用したいと考えている、あるいは実際に雇用しているが困ったことがある雇用主の方々に対する相談も受け付けています。さまざまな専門家と協力しながら解決を目指し、障害を抱えた方々と企業側の双方がより快適な職業生活を送れるよう支援します。   就労に際しては、療育手帳や精神障害保健福祉手帳などを取得することで、障害者雇用枠で就職することも可能です。 就労に関連する法律が整備され、精神障害や知的障害だけでなく、自閉スペクトラム症をはじめとする発達障害も含めて、障害に対する社会的な理解が深まっており、企業のなかには障害を抱える方々を積極的に雇用しようとする企業も増えてきています。 一般の方々と同じように就職を目指すことも選択肢の一つですが、手帳を取得することでさまざまな支援を受けることができることも覚えておいてください。 ※詳しくは「療育手帳」の項を参照  

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