自作ワークシートを活用することでスムーズな意見交換が可能に。emouをきっかけに利用者の様々な考えを聞くことができています。【コンテンツ利用事例:株式会社悠翔様】 | ソーシャルスキルトレーニングVR

2021.03.29

<株式会社悠翔>

愛知県春日井市で障害者就労移行支援事業所「未来フィールド」を運営。資格取得支援や専属講師による講座など豊富なプログラムを用意し、ひとりひとりの個性に合わせて、利用者様の成長と自己実現をサポートしております。プログラムの一つとしてemouを利用したSSTを実施されている中野様に具体的なコンテンツの使い方について、お話をお伺いしました。

現在、emouをどのようにご利用いただいているかを教えてください。

当施設では1講座1時間で、emouの実施をスケジュールに組み入れています。
現在は、1週間に3、4回ほど使っています。
1回のemouの参加人数は3名で、男女比のバランスや利用者のレベルを考えてグループを作っています。
全グループが同じコンテンツを体験できるように、1つのコンテンツを2週間ほどかけて実施します。
全員がそのコンテンツを体験したら、別のコンテンツに変えて、また同じように進めます。

そして、今利用しているコンテンツは、職業体験書店編A3-01『僕じゃないのに』です。
書店員として働いている中、店長が対応したお客様から領収書が間違っていると言われたが、店長はレジを離れているために自分がどう行動するかを考えるトレーニングです。

具体的にどのようにコンテンツをご利用されているのでしょうか。

事前にワークシートを準備して、VR体験の前に利用者へ配布します

SSTを開始する前に、簡単なVR体験の概要や目的、また、VR体験後に振り返りができるような質問をいくつか記載しているワークシートを配ります。
このワークシートは、emouで提供されているセッションシートの内容を元に、私たち支援者で作っています。
セッションシートには、セッションの概要、目標や確認すべき内容、VR体験をした利用者に向けての具体的な質問まで書いてありますので、大変参考になります。

①自作のワークシートを元にテーマや目的を説明

当日体験するコンテンツについて利用者に説明をします。コンテンツ『僕じゃないのに』の場合、下記について共有しています。・テーマ:ルールの理解・場面設定:店長が対応したお客様から領収書が間違っていると言われたが、店長はレジを離れている

・目的:お客様から見た店員はどう見えているか?店員としての発言に気をつけることは何か?

②VRを体験

実際にVRを体験していただき、コンテンツ内の選択肢をそれぞれ選んでもらいます。

③ワークシートに記入

VRコンテンツについての質問の答えや意見を、15分ほど時間をかけてワークシートに書いてもらいます。今回は下記のような質問をワークシートに記載していました。・どんなストーリーでしたか?・選択肢は何を選びましたか?・なぜそれを選びましたか?・選択したあと、お客様はどんな様子でしたか?

・自分が選んだ回答は正しいと思いますか?それはなぜですか?

▼中野様が作成されているワークシート1/3

④利用者による各自の発表

ワークシートへの記入が終わりましたら、各自で書いた内容を発表してもらいます。それぞれの答えや意見を皆で聞いた後、他のグループで出た意見なども話題に出して話を膨らませます。

また、利用者の状況に応じて深く質問をすることで、記載された内容の確認や本当の意見などを引き出すようにしています。

⑤すべての選択肢のストーリーを視聴

このコンテンツは行動の選択肢が3つあり、それぞれ違うストーリーが展開されます。例えば、【対応したのは店長で外出していると伝える】という選択肢を選ぶと、お客様から「この店の店員ですよね。早く直してほしいです。」と言われてしまいます。それぞれの選択肢がどのような展開となるのか、すべてのストーリーを確認します。

未来フィールドでは、emou Manager(iPad)をスクリーンに投影してグループ全員で視聴しています。

⑥続けてワークシートに記入&皆で話し合い

すべての選択肢のストーリーを見終わったあと、ワークシートの後半を記入してもらいます。後半には下記のような質問を用意しています。・ミスをしたのは店長なのに、お客様はなぜ自分に領収書を直してほしいと言ってきたと思いますか?・すべての回答を視聴してみて、どの回答がお客様にとって最適と思いましたか?それはなぜですか?

・自分だけの判断で対応していいことと、対応してはいけないことはどんなことがあると予測しますか?

もちろん、これらの回答には正解というものはありませんが、各自で考えてもらうことで、現実に同じような場面に遭遇した際に、正しい方向に話を持っていけるようにと意識しております。

▼中野様が作成されているワークシート2/3

⑦まとめを音読

ワークシートの最後に「まとめ」を用意しておきます。
セッションシートを元に、VR体験で今回学んだこと、考えたこと、大切なことなどを文章で記載しています。
こちらを皆に音読してもらいます。

▼中野様が作成されているワークシート3/3

⑧最後に感想を記入

最後に全体の感想を書いて発表してもらいます。就業経験がない人は「こんなことがあるんだ」という新たな気付きを、また、就業経験がある人は過去の実体験を共有してくれます。

同じコンテンツでも皆違う感想が出てきますので、ここがグループワークのよさの1つでもあると感じています。

利用者様にVR体験内容の確認や質問をする際に、何か工夫している点などはありますか?

質問の回答を発表してもらうときに、その場で発言することが苦手な人が多いので、ワークシートに自分の考えを整理して書いてもらいます。
ワークシートに書いたことで利用者も発表がしやすく、意見交換が活発になりました。

利用者様の反応はいかがですか?

利用者はゲーム感覚でVR体験ができるので楽しんでいますね。
emouを導入する前はSSTを紙媒体で行っていました。VRだと紙よりもわかりやすく、楽しいと感じている人が多い気がします。

利用者から「他の授業も受けたい」という声や、コンテンツについて「こういう場面があったらいい」という意見もあがっています。

もちろん、なかには、ストーリーの内容が難しいと感じる人や場面の理解で精一杯の人もいらっしゃいます。そのような人には、現実にはいろんな場面があるということを知ってもらえればいいなと考えています。

emouは同じコンテンツでも利用者に合わせて使うことができるので、支援の現場でとても活用できますね。

今回はワークシートを活用したコンテンツのご利用方法について教えていただき、ありがとうございます。
また、ワークシートも共有いただき、就労移行支援でのemouのご活用事例としてとても参考になりました。
今後もご活用いただきながら、ぜひまたご希望されるコンテンツなどのお話をお聞かせください。

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